推しがいる人は1日のSNS利用の約半分の時間を<推し活>に費やしている ―2024年「推し活」の実態調査から紐解くVol3
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- この記事はこんな方にオススメ!
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- 「推し活」について興味がある方
- 「推し活」の実態について知りたい方
1.<推し>がいるとSNS利用が促進される
ビデオリサーチ内の生活者に関するシンクタンク「ひと研究所」では、昨今話題の<推し活>の実態について調査・研究を進めています。過去の記事でも紹介したのですが、<推し>や<推し活>は若者に限った話ではなく、中高年においても4人に1人は<推し>がいることが分かっています。世代を問わず多くの人が行っている<推し活>ですが、具体的には、『SNSの利用』、『購買行動』、『映像メディアの利用』が活動の主軸となっているようです。
前回記事では、『映像メディアの利用』について紹介しましたが、今回は『SNSの利用』について、調査結果をもとにみえてきた推し活の実態を紹介します。
<前回までの記事はこちら>
・中高年も4人に1人は「推し」がいる時代 2024年「推し活」の実態を調査データから紐解く
・『YouTube(動画)』と『テレビ』が推し活の主軸に ―2024年「推し活」の実態調査から紐解くVol2
はじめに、「<推し>がいる人」と「<推し>がいない人」でSNSの利用時間量に違いがあるかをみてみます。XとInstagramにおける1日あたりの利用時間量を比較すると、いずれの世代においても「<推し>がいる人」の方が利用時間量が多いことがわかります。若い世代の方が利用量は圧倒的に多いですが、<推し>がいるとSNSの利用時間が長くなるというのはどの世代も共通しています。これはつまり、<推し>がいるとSNSの利用が促進されるといえます【図1】。
※X/Y/Z世代の定義については諸説ありますが、本記事で用いた調査は15歳以上を対象としているため、Z世代を「男女15-26歳」、Y世代を「男女27-42歳」、X世代を「男女43-58歳」と定義して分析をしています。
2.1日のSNS利用の約半分の時間を<推し活>に利用
次に、「<推し>がいる人」はSNS利用のうちどのくらいの割合を<推し活>に利用しているのかをみてみます。XとInstagramそれぞれにて<推し活>目的の利用割合をみると、いずれの世代も1日の利用量の約半数を<推し活>目的で利用していることがわかりました【図2】。
X世代以上の中高年層においても、若年層と同様に1日の利用時間の約半分を推しについて調べたり、見聞きすることに費やしているようです。
また、この「<推し活>目的」での利用時間は、最も熱量が高い<推し>1人(1つ)に対しての利用時間量を質問しており、複数<推し>がいるという人も少なくないため、それらも含めると<推し活>目的の利用割合はより多くなるのではないかと考えられます。
3.推し活におけるSNS利用目的は「情報収集」と「コンテンツ視聴」
では、SNSでの<推し活>において、具体的にどのようなことを行っているのでしょうか。今度は<推し活>利用におけるXとInstagramの利用目的をみてみます。
いずれの世代も利用目的はX、Instagramともに「推しに関する情報収集」が最も高く、次いで「推しに関するコンテンツを見る/聴く」となっています。世代を問わず、推しに関する情報収集とコンテンツ視聴がSNS利用の主目的のようです。
注目したいのは、「推しに関する発信」です。「推しに関する情報収集」、「推しに関するコンテンツを見る/聴く」において世代による差は若干ありますが、それ以上に「推しに関する発信(私的なこと)」や「推しに関する発信(出演情報等)」では若い世代(Z世代、Y世代)と上の世代(X世代、59~69歳)とで差が開く傾向です【図3】。若い世代の方がより情報発信の目的が高くなるようです。普段からSNSを使いこなしている若い世代の方が情報発信を日常的に行っており、それが<推し活>においても表れています。
4.SNSでの<推し>情報には常にアンテナを張っており、時間帯を問わずチェックしている
最後に、SNSでの<推し活>がいつ行われているのかをみてみましょう。普段のSNS利用と、推し活目的で利用する時間帯に違いがあるのかを確認すると、XとInstagramいずれにおいても推し活利用は普段の利用と比べ「日によってバラバラ」が高くなっていることがわかります【図4】。
<推し活>では常にSNS情報に対しアンテナを張っており、情報の更新や新しいコンテンツが供給されると、時間帯を問わずチェックしている様子がうかがえます。また、この傾向は世代による違いはなく共通の行動のようです。
今回の記事では、<推し活>のSNS利用について調査結果を紹介しました。中高年でも<推し>がいると利用時間量が増加するなど活発な利用が確認でき、<推し活>において年代を問わずSNSは重要な役割を果たしていることがわかりました。ひと研究所では今後も<推し活>に関する記事をシリーズで発信する予定です。引き続きご期待ください。
また、<推し活>研究にご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にお問い合わせください。
【ひと研究所 推し活調査2024年2月 調査概要】
調査日 :2024年2月6日(火)~2月7日(水)
調査手法 :web調査
調査エリア :全国
サンプルサイズ :4,234(SC)、1,437(本調査)
対象者属性 :男女15~69歳