【ラジオレコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO】介護もお笑いも、大切なことは人との繋がり~RCCラジオ『鹿見勇輔 福祉のラジオ』鹿見勇輔さん~

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【ラジオレコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO】介護もお笑いも、大切なことは人との繋がり~RCCラジオ『鹿見勇輔 福祉のラジオ』鹿見勇輔さん~

ラジオ レコメンダー" やきそばかおる "の I love RADIO  第73回


今回は広島のRCCラジオで放送されている『鹿見勇輔 福祉のラジオ』(日曜 12時〜12時30分)の鹿見勇輔さんに注目。鹿見さんは"介護芸人"として活動しています。

2023年5月には広島市南区宇品(うじな)にお笑いライブ用の劇場「めぐみお笑い劇場」をオープンしました。とはいえ、ここまでの37年の人生には紆余曲折があったそうです...。

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●鹿見勇輔

1986年、広島県広島市生まれ。めぐみエンターテインメント所属。有限会社めぐみに勤務しながら、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、主任介護支援専門員などの資格を取得。 福祉・介護専門職として講演会活動・芸人活動を積極的に行っている。

芸人を目指すのをやめる決断

鹿見さんは地元・広島の高校卒業後、芸人を目指して東京にある芸人の養成所に通うことにしました。ところが、まわりの芸人志望の人たちの志の高さを痛感し、潔く志を断念しました。

やきそば 決断が早かったですね。

鹿見さん 授業料を一括して払ったあとなのでお金はもったいないですが、「もうお笑いはやらない」と心に誓いました。ただ、夢も目標もなくなり、生きる喜びもない状態になってしまいました。当時は19歳くらいです。

母が介護の仕事をしていることもあって、介護の専門学校に通い始めました。正直にいえばはじめは気が乗らなかったのですが、実習の時に高齢者の皆さんが毎日を思いっきり楽しもうとしている姿を目の当たりにして、自分も頑張って生きようと考えがガラリと変わりました。

その後、2011年に日本福祉大学大学院(社会福祉学研究科社会福祉学専攻)修了。さらに2016年には広島福祉専門学校(精神保健福祉士科)を修了しました。

やきそば 鹿見さんが高齢者の皆さんと接するうえで心掛けていることは何ですか?

鹿見さん 私自身が前向きでいることです。日頃の会話は病気のことから人間関係のことまで、どちらかといえばネガティブな内容が多いです。それを真に受けてしまうとお互いが暗い気持ちになってしまいます。話を聞いたあとは気持ちを切り替えることを心掛けています。

あとは、生活のスピードを合わせること。歩くスピードや話すスピードを合わせることも大事です。

大切なのは人との繋がり

やきそば 鹿見さんからみて、人生の大先輩の皆さんが日々の生活を楽しむために大事なことは何だと思いますか?

鹿見さん 人との繋がりだと思います。年齢を重ねると大切なパートナーや友達が亡くなることが多くなってきて、自身も健康をはじめとして不安なことが増えていきます。人との繋がりがあれば、ひとりでいることの不安が和らいでいくと思います。

ただ、女性はコミュニケーションを楽しめますが、男性は苦手だという人が多いです。人の輪に入りたくても入りづらいようです。

やきそば じっとしていてもよくないので、何か用事を作るのも大事だと聞いたことがあります。

鹿見さん 例えば親が高齢だからといって、家族が親のかわりに好きなものを買ってきてしまうと親の楽しみを奪ってしまいます。仮にチョコレートが好きだとすると、親は自分でお店に行って選ぶことが楽しいんです。達成感が味わえることがポイントです。

あえて原稿を読まず

2013年9月、鹿見さんはデイサービスでの敬老会で落語を披露したことをきっかけに、芸人活動を再開。2020年9月からは『鹿見勇輔 福祉のラジオ』がスタートしました。こちらはお笑いコンビ、ブーゲンビリアの亮介さんと喋っています。

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▲ブーゲンビリアの亮介さん(左)と

やきそば 『福祉のラジオ』は、フリートーク以外に福祉にまつわる情報も伝えていて、しっかりと構成しているのが伝わってきます。

鹿見さん 情報は間違えてはいけないのでキッチリと準備します。ただ、原稿をそのまま読むとつまらなくなってしまうので、収録の時は見ずに自分の言葉で話します。

やきそば 福祉に関する話を聞いていて、終活について知っておくべきことが多いので、元気なうちに手をつけたほうがいいと思いました。

鹿見さん 社会保障の支援制度は細分化されていて、自分から手を挙げないと受け取れない仕組みが多いですから。家族の協力がないとギブアップしてしまうところもありますね。

やきそば 鹿見さんは、将来、世の中がどのようになっていくといいと思いますか?

鹿見さん 今は生きづらい世の中なので、悩む人が少なくなって、ちょっとした幸せを感じられるのが理想だと思います。僕の場合は芸風からして、ネタをやって、「またバカなことやってる」と思ってもらえたら嬉しいです(笑)。

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お笑いライブは人と人との繋がりで

2014年1月には「宇品落語会」を、2016年2月からは広島を中心に活動する若手芸人らを率いて「広島お笑いライブ・ワンチャン」を始めました。

2023年5月には広島市南区宇品に「めぐみお笑い劇場」を作り、定期的にお笑いライブを開催しています。

やきそば 広島は芸人さんのネタを生で見る機会があまりないので、劇場に観に行く文化を根付かせることから始めているところはありますよね。

鹿見さん それはあります。広島はお笑いライブの常設の劇場がないので「ネタはテレビで観るもの」という方が多いです。ライブには東京の芸能事務所・タイタンや浅井企画、漫才協会などに所属する芸人をゲストに招いています。

ブッキングにあたり、元キリングセンスの萩原正人さんにもお世話になっています。以前、萩原さんが臓器移植の講演会を行うために広島を訪れていて、福祉関係の共通の知り合いから紹介していただきました。萩原さんのおかげで爆笑問題さんにご挨拶させていただきました。

さらに、ウエストランドさんをはじめ、タイタンの芸人さんを広島のライブにお招きできるようになりました。

やきそば そうなんですか!

鹿見さん また、萩原さんとのご縁でRCC中国放送の横山雄二アナウンサーとも知り合うことができました。横山さんがメインパーソナリティを務める『平成ラヂオバラエティ ごぜん様さま』にちょうど萩原さんがゲスト出演するということで、僕が萩原さんをアテンドしていた流れでお会いすることになりました。

今年の1月には『ごぜん様さま』にゲスト出演して生放送でネタを披露させていただきました。

やきそば 『ごぜん様さま』で披露したのは「ストイックマン」※ というネタでしたよね。特にディレクターの馬越さんがお気に入りだという。

鹿見さん そうなんです! でもこのネタの面白さは、横山さんと木曜・金曜担当の渕上沙紀アナウンサーには「くだらねぇ~」と言われ、なかなか伝わりませんでした(笑)。

※ 「ストイックマン」のネタは『広島お笑いライブ・ワンチャン』公式YouTubeや、『ごぜん様さま』公式YouTube「千客万来! ごぜん様さま 基町演芸場」で観られます。

みんなでつくるM-1ネタ

やきそば 鹿見さんはR-1グランプリにも挑戦していますが、どんなネタをやっていますか?

鹿見さん 今年の大会に向けた予選では探偵のコントをやりました。実は予選では介護のネタをやっていません。どうもR-1では福祉に関するネタはウケない気がしていて...。

やきそば ひょっとすると、お客さんも構えてしまうかもしれませんね。

鹿見さん せっかく「介護芸人」として活動しているので、もったいない気はしています。

やきそば 人生の大先輩の前ではどんなネタがウケますか?

鹿見さん 実はおじいちゃん、おばあちゃんに関する自虐ネタはウケが良いです。

やきそば 話を聞いていると、ジャンルや雰囲気こそ違いますが、ある年代から上の方が綾小路きみまろさんのネタで大笑いするのと似ている感じがしますね。

鹿見さん そうかもしれません。余談ですが、ネタでは大きな文字を書いたフリップを使うことが多いですが、それはおじいちゃん、おばあちゃんに分かりやすくするためです。

やきそば 優しいですね〜。

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「めぐみお笑い劇場」では変わり種のライブ「M-1グランプリ対策ライブ」も行っています。

やきそば こちらはどんな内容のライブですか?

鹿見さん お客さんにネタの改善点に関するアンケートをとって、面白いネタになるように一緒に練り上げていくライブです。お客さんは芸人に興味を持ってもらうことで、ファンが増えることを期待しています。

でも広島のお客さんは優しい人が多いから、できれば"ラジオのハガキ職人"のような人にも遊びに来ていただいて、いろいろな角度からどんどん指摘してほしい気もします。

やきそば お客さんはどんな方が多いですか?

鹿見さん ゲストのファンの皆さんはもちろん、僕が飲みに行っているお店のお客さんも多いです(笑)。そのほか、最近はラジオを聴いている方も来てくださるようになりました。

やきそば 東京で年間1000以上のお笑いライブを企画している「K-PRO」の児島気奈(こじま・きな)さんにもネタを見てほしいですよね。

鹿見さん 萩原さんのお誘いで昨年末に「K-PRO」ライブに行きまして、児島さんにご挨拶させていただきました。

やきそば いつか児島さんに広島に来ていただけると嬉しいですね! 鹿見さんはラジオ番組を持っていて劇場もあるので、いろいろな人を繋げるハブの役割を担っていただけると良いですね。

子どもたちにも寄り添いたい

やきそば では、鹿見さんが介護芸人として活動していて良かったと思うことを教えてください。

鹿見さん 福祉に関する仕事をして、なおかつ芸人の活動もしていると面白がってもらえます。例えば介護保険の説明をするにしても、興味を持ってもらいやすいです。介護芸人として活動することは、高齢者の皆さんに介護に関する興味を持っていただくのに有利です。

やきそば 鹿見さんは保育士の資格の取得も目指しているそうですね。

鹿見さん ヤングケアラーが深刻な問題になっていて、親の介護をしている18歳未満の子どもたちが増えています。遊ぶ時間や勉強する時間がないので、僕も子どもたちをケアできるように目指しています。

やきそば 鹿見さんはとにかく忙しいという印象があります。日々の生活はいかがですか?

鹿見さん 休みはほぼないですね。介護の仕事はたくさんありますし、お笑いライブに関してはブッキングやチラシのポスティングなど、ひとりでやっているので常に走り回っています。

やきそば お笑いライブは、どのくらい期間をあけるかということも大事ですよね。

鹿見さん あまり頻繁に開催しても、お客さんにとって負担になってしまいます。月に一度くらいがちょうど良いです。あとは落語会や変わった企画でライブを開催しています。

ポジティブのすすめ

やきそば アグレッシブですね! 先ほど、鹿見さんは物事をポジティブに捉えると仰っていましたが、もともと前向きな性格でしたか?

鹿見さん 18歳ぐらいまではとてもネガティブで人見知りでした。人前で喋るのも苦手だったからこそ、当時養成所に入るのを潔く諦められたのかもしれません。その後、芸人の活動を再開しますが、福祉のことを勉強して自信がついたのが大きかったです。それに前向きになりました。芸人としての活動のほうはまだまだですけど。

やきそば なるほど!

鹿見さん 介護が必要な高齢者やご家族から悩み事を聞くことが多くて気持ちが沈みそうになる時があるんです。自分の精神状態を守るためにはポジティブに捉えることが大事です。

やきそば ありがとうございました! 今後のご活躍を期待しております。

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後半は各地で放送されている番組から3本をピックアップ。

新潟のBSNラジオでは高齢者を応援する『たかまろ&ひろえの痛快楽笑(らくしょう)ラジオ』(日曜 16時〜17時)を放送。パーソナリティは中野小路たかまろ&フリーアナウンサーの松井弘恵。

中野小路さんは元警察官で、現在は新潟県を拠点に活動している漫談師。年間約200本以上の講習会、講演会を行っています。

愛媛の南海放送ラジオ『小春日和』(日曜 16時40分〜17時)は、積極的に福祉活動を続けている芸人の小春と、介護事業の会社「クオラ」の松野重弘さんの番組。雑談のなかから共感する話が出てくるほか、世の中に対する本音もチラリと覗かせます。

ROKラジオ沖縄『山原麗華の元気なナツメロ(爆笑)』(木曜 20時〜22時 ※ナイター放送期間は放送時間等が変わる可能性があります)はアコーディオン奏者の山原麗華ワールド全開の番組。

山原さんはもともと介護施設で働いていました。東日本大震災が発生したのち、沖縄に移ってきた人生の大先輩を励まそうとアコーディオンの猛特訓を受けます。

現在は沖縄を中心に高齢者施設を訪問してはアコーディオンの生演奏をして盛り上げています。『I love RADIO』(第59回 2022年12月掲載)でインタビューを行いました。

<了>

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