朝に支持される動画のポイントはコレ!~映像視聴の生活者研究シリーズ~
- この記事はこんな方にオススメ!
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- 若者やZ世代のインターネット動画視聴行動に関心がある方
- 生活者の朝の行動に関心がある方
1.朝の動画の実態と背景
ここまで、映像視聴の生活者研究シリーズとして、朝の動画視聴に注目した調査・研究の結果を発信してきました。若年層(Z世代)で、朝の時間帯に特にスマートフォンを用いての動画視聴行動が増加しており、その背景にはあふれる情報・コンテンツを効率よく処理したいニーズの存在がうかがえる結果でした。このテーマについての一連の記事の最後として、朝の動画視聴習慣のこれからと、支持されるコンテンツについて、考えてみたいと思います。
これまでの記事はこちら
・Z世代の朝の動画視聴が急増-その実態とは?~映像視聴の生活者研究シリーズ~
・朝に見られやすい動画コンテンツとは?~映像視聴の生活者研究シリーズ~
・朝の動画ニーズは自分の関心ごと中心に~映像視聴の生活者研究シリーズ~
2.朝の動画視聴の増加は続く可能性
改めて、若年層の朝の動画視聴の時系列変化を確認します。当社マーケティング調査データのACR/exの生活行動データ(MCR/ex)で、一日の中での自宅内のネット動画視聴行動についてみてみます(図1)。コロナ禍を通じて朝のネット動画視聴の行動率は増加傾向であり、その傾向はまだ続く可能性が十分あるといえます。少なくとも、継続的な調査で高止まり状態が確認できるまでは、増加傾向が続くと予想しておくことが妥当だと考えられます。
また、ひと研究所で実施している、生活者のメディアの利用シーンに関する調査「メディアポジショニング調査」でも、若年層の朝の動画視聴が今後も増加していく可能性は十分に想定できる結果でした(図2)。もちろん、引き続き調査を実施し、結果に注目していく必要がありますが、現段階では、朝の動画視聴は拡大の可能性があり、長期的にはこの変化が上の世代へ拡大していくことが考えられます(若年層も時間が経てば年齢を重ねて順々に"上の世代"となっていくのです)。
3.朝に支持される動画コンテンツは何か
朝の動画視聴習慣が拡大していくとなると、そのような人たちに向けてコンテンツを考える必要も出てきます。改めて朝に視聴されやすい動画ジャンルや、朝に視聴する動機などから、どのようなコンテンツが生活者に必要とされているか考えてみたいと思います。
●狭く・深い情報へのニーズ
朝の視聴ジャンルの特徴について、YouTubeの例をみると、「ニュース・情報」に特徴がみられました(図3)。「ニュース・情報」ジャンルにおいて朝にスコアが高くなる傾向は、TVer、ABEMA、有料の動画配信、TikTokでも同様にみられ、まさに"朝の特徴"の一つと言えます。
※詳しくは下記記事を参照
そして、朝に放送しているテレビ番組ではなく動画でニュース・情報を得ていることや、"あふれる情報・コンテンツを効率よく処理したい"ニーズを前提に考えると、例えば、
● 政治や社会、経済などの特定トピックに関する解説
● 応援しているスポーツのチーム・選手にフォーカスしたハイライト
● 住んでいる地域に密着したニュース・情報
● 好きなモノゴト・コンテンツ、"推し"など好きなエンタメに関する最新情報
など、狭い範囲でも、その生活者にとっては深く有用な内容が支持されるものになっていく、という仮説を立てることができます。もちろん、朝の時間帯であることを考慮すると、比較的短尺で手短にこれらのニュースや情報を得られる動画が生活シーンにはマッチしそうです。この点は、より詳細な実態把握をして検証していきたい点です。
●短尺だけでなく、20~30分程度のコンテンツにもニーズあり
ひと研究所で行った定性的な生活者サーベイ(「朝の動画視聴 生活者サーベイ」)で、特徴的であった事例の中に、朝の時間帯に「海外ドラマ」や「アニメ」を視聴する、というものがありました(図4)。
先ほど述べた「ニュース・情報」に関する行動とは対極にあるような視聴行動と言えます。しかし、"あふれる情報・コンテンツを効率よく処理したい"ニーズとして考えると、まだ見られていない"溜まってしまった"ドラマやアニメなどの作品を、朝に"消化"するのを習慣化することは、上手な時間の作り方・使い方であるとも言えます。また、ドラマやアニメなどコンテンツの時間の経過に伴って一定の"型"があるもの(例えば起承転結、中盤のCM挿入ポイント、オープニング・エンディングテーマなどがあるコンテンツ)には、朝の時間帯の生活行動にマッチする点も見出すことができます(下記)。
● 朝の身支度などの習慣的行動をする際の"時計(タイマー)代わり"になる
● 一定時間、手を使わないで済む(短尺コンテンツを次々に選ぶ必要が無い)
朝の時間帯は、身支度などの習慣的な行動をしていることが多い時間帯です。また自身や家族の外出前で忙しい生活者も多い時間帯です。そのような生活者にとっては、短尺動画をいちいち選びながら視聴することが非常に面倒になると考えられます。すると、一定時間流しっぱなしにできる、ある程度の長さのあるコンテンツの方が都合の良い場合も多々あると言えます。このように考えると、朝の時間帯の生活習慣とうまく合致することで20~30分程度のコンテンツが視聴されている、というパターンも十分ありそうです。
このように、「比較的短尺の動画で、狭く深い情報」「流しっぱなしにできる20~30分程度のコンテンツ」という異なった方向性を考えることができました。引き続き調査研究を進めていくことで、また違った可能性を発見できるかもしれません。ひと研究所では、生活者の動画視聴の動向について注目して、調査研究を進めていきたいと考えています。
【本記事で紹介したサービス】
サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex」「MCR/ex」
調査時期:2019年4-6月、2021年4-6月、2023年4-6月
対象地区:7地区計(東京50Km圏+関西+名古屋+北部九州+札幌+仙台+広島)
ターゲット:男女12-29才
サンプル数:2019年:2,644名、2021年:3,036名、2023年:2,741名
【調査概要】
ひと研究所「メディアポジショニング調査」
調査方法:インターネット調査
調査対象:日本全国の15~69才(中学生は除く)
サンプル数:2019年調査:4,879名、2021年調査:4,867名、2023年調査:8,824名
調査期間:2019年10月4日(金)~10月5日(土)
2021年10月1日(金)~10月2日(土)
2023年5月26日(金)~5月28日(日)
ひと研究所「動画視聴についての研究調査」
調査方法:インターネット調査
調査対象:日本全国の15~69才(中学生は除く)
調査対象動画サービス・アプリでの月1回以上動画視聴者
サンプル数:1,265名
調査期間:2023年8月4日(金)~8月7日(月)
ひと研究所「朝の動画視聴 生活者サーベイ」
調査方法:モニターからの写真提供・インタビューなど
調査対象:モニタリングサーベイモニター(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県中心)
調査期間:2023年7月
調査実施:株式会社 精クリエイティブ
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