【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】テレビの力を見せつけてくれた「VIVANT」
【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】第54回
2023年、テレビ番組でもっとも熱くなったのはTBSドラマ「VIVANT」である。
ネットのドラマがどんどん勢いを増していく中、Netflixで配信された「サンクチュアリ」は大きな話題をさらった。僕の妻も周りもかなり熱くなったし、どこに行っても「サンクチュアリ」の話になった。
かなりの予算をかけて、テレビドラマでは挑めないテーマで作っているドラマがこれから日本の中心になっていくのかと思っていた時だった。
正直、「VIVANT」の予告編を見て、見たいとは思えなかった。何をやるかを教えない作戦だったのと、いきなり1話が二時間近くあったので、見る気になれなかった。
1話、2話の放送が終わって、見た人に意見を聞いたら「まあまあ」と言っていた。「半沢直樹」の時には1話から捕まえられている人がほとんどだったのに比べて、「やっぱり、今回はイマイチなのかな~」と思っていた。
ただ、かなりの予算をかけて、すごいスケールであることはみんな口にした。
見なくてもいいか・・・と思っていたのだが、3話、4話となり、周りで「VIVANT、おもしろいんだけど・・・」という声が増えて行った。僕は「本当か?」と疑っていた。
出遅れたのもあったので、疑う気持ちも多かった。
5話の放送が終わった時だった。僕はコロナになった。肺の持病を持っていたので、即入院となった。
いきなり時間が出来たので、U-NEXTでVIVANTを見られることを知った僕は、見ることにした。(もともとU-NEXTに入っていたのも大きかった)
1話、2話を見て、まあ、もちろんおもしろい。凄いスケール。だけど、やっぱり「半沢直樹」と比べてしまう。それに役所広司もほとんど出てこないじゃんと。
だが、3話、4話と見て「あれ?おもしろいんですけど」となり、5話を見て「超おもしろいんですけど」となった。
話が進めば進むほど止まらなくなり、世の中もどんどん熱くなり、考察する人もどんどん増えて行った。
最初はあまり出てこなかった役所広司さんや松坂桃李さんも「なるほど、そういうことか」となってくる。
最終回まで見終わってとてつもなく感動したし、勇気を貰えた。
単純にドラマがおもしろかったからだけではない。
テレビのピンチ、テレビドラマのピンチに、TBSの福澤監督の元、堺雅人さん、阿部寛さん、二階堂ふみさん、松坂桃李さん、二宮和也さん、役所広司さん、超絶演技が上手くて凄い俳優が集まった。
俳優界のアベンジャーズが集まり、「テレビドラマの意地」を見せつけてくれた。しかも、「ドラム」のような、このドラマ発の役者もちゃんと生み出すという格好良さ。
テレビドラマだってお金をかけて、時間をかけて、面白いことが出来るんだよ!と、力づくで伝えてくれた気がする。
諦めちゃダメなんだ。もちろん低予算でも面白いものは作れるし、そのアイデアは絞り出していかなきゃいけないが、「VIVANT」のように、テレビの力を見せつけてくれるドラマ、来年からも年に一度はどこかの局に見せつけてほしいと思った。
本当に心からの拍手です!
<了>