【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】伝えるべき「意見」でテレビはもっと面白くなる
【 鈴木おさむ の WHAT'S ON TV ? 】第55回
カンニング竹山君が年に一度行っている単独ライブ「放送禁止」の演出を16年やっている。
毎年ライブの後半は、何か1つの話題を取り上げて、そこを深掘っていく。
今回は茂木健一郎さんについて。
何かとX(旧Twitter)で炎上している茂木さん。特にテレビとお笑いについての投稿も多く、「日本のお笑いオワコン」発言はかなり炎上した。
日本のお笑いやテレビに対して手厳しい茂木さんを放っておいてはダメだということで、竹山君と一緒に取材を申し込んだ。
その取材の中で、なぜに、こんなツイートをするのかと聞きながら、その流れで茂木さんにお説教して、その様子をライブで伝えていく魂胆があった。
茂木さんは、二つ返事で取材を引き受けてくれた。
取材は有楽町の外国人記者クラブのCAFEで行われた。人生で初めて入る外国人記者クラブにドキドキしながら、茂木さんに取材を開始した。
茂木さんはカレーを食べながら、竹山君の質問に笑顔で答えていく。
日本のお笑いが好きではないと言い切った。茂木さんは昔から落語や新喜劇を愛し、そしてモンティ・パイソンや海外のお笑い番組も深く愛していることがわかった。
その上で、茂木さんは日本のお笑いを「村社会」と捉えていた。
ここでは書かないが、人気のお笑い番組の実名をバンバンあげて、「嫌い」と言っていた。
いつからかお笑い番組はチームプレーだと言うようになった。空気を読みあいながらチームプレーで笑いを作っていく。
茂木さんはそういうのがとても嫌だと。空気を読まずに発言をすることをすごく嫌うからと。だからおもしろくないと。
そしてワイドショーなどでのコメンテーターの発言の浅さもとても気になっていた。表面は斬るけど、深いところを刺さないことが気になっているのだろう。
茂木さんはどんどんノってくる。あの超人気芸人のことも大嫌いだと言いまくる。
そこで発言したことも、ライブで言ってもらっていいと言う。
茂木さんのテレビ論、お笑い論を結構聞いた後に、竹山君が「なぜ、そういう発言をSNSでするのか?」と聞くと、茂木さんは言った。
いろんな発言があってよくないですか?と。
日本のお笑いが最高だって人もいれば、オワコンだと思ってる人もいる。
超人気芸人が好きだって人もいれば、きっと嫌いな人もいる。
あのアイドルが格好いいって人もいれば、ダサいと思ってる人もいる。
世の中にはいろんな意見があるのに、大多数の意見と違うことを言うと、一斉に叩かれる風潮がある。
しかもそれをテレビやメディアがする。
自分の意見を自由に言えなくなったその先にはテロがあると、茂木さんは言った。そこまで聞いてドキっとした。
確かに、僕はみんなと違う意見をあえてSNSで言うことはない。炎上すると面倒だから。
だけど、確かに、世の中の大多数の意見と「そうじゃない」意見はある。あっていい。あるべきだ。
その大多数じゃない意見を、大多数の意見が「正論」だと、封じ込めようとする。
茂木さんにお説教しに行くつもりが、結局、竹山君と終わった後に、茂木さんの考え方にすっかり賛同しちゃってる。
テレビ界も芸能界も大きく変わってきた。変わる前は、いろんな意見が言えなかった。
だけど、言っていい。言わなきゃいけない。そしてテレビもメディアもいろんな意見をちゃんと伝えるべきなのだと思う。
それをやったら、きっとまたおもしろくなる。
<了>