"視聴体験満足度"は継続視聴やメディア評価につながる重要指標である〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜

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"視聴体験満足度"は継続視聴やメディア評価につながる重要指標である〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜
この記事はこんな方にオススメ!
  • 映像コンテンツ視聴促進のための施策を検討している方
  • 視聴者がどのように映像コンテンツを選び、楽しんでいるか興味がある方

視聴ジャーニーと視聴体験満足度

ひと研究所では、テレビ番組などの映像コンテンツの「視聴前」「視聴中」「視聴後」で起きる行動やリアクションである<視聴ジャーニー>が、コンテンツの"視聴体験満足度"を高めるという視点で、生活者研究を進めています(図1)。今回は、最新の調査データから、"視聴体験満足度"の高まりがもたらすコンテンツやメディア評価への影響について、分析結果をご紹介します。

※視聴体験満足度:番組について、番組の内容に加えて、その視聴前後の体験や行動、気持ちも含めてどの程度満足したのかを示す指標

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<視聴ジャーニー>について詳しくはこちら

映像コンテンツ戦国時代、視聴者の囲い込みには<視聴ジャーニー>活性化が効く〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜

「視聴ジャーニー」とは、テレビ番組や動画配信サービスなど映像コンテンツの視聴中、視聴前後で起こる行動やリアクションのことを指します。視聴者は映像視聴の前後でどのような行動をとっているのか、満足度が高まる視聴体験について、お伝えします。

SAMPLE

視聴ジャーニーの実態(最新調査結果より)

今回ご紹介するのは、2023年に放送されたテレビ番組を対象に実施した視聴ジャーニーに関する調査の結果です。回答者に、2023年に放送されたテレビ番組の中から印象に残っている番組を最大2番組挙げてもらい(自由回答)、それぞれについて番組評価や視聴ジャーニーの実態を質問しています。
※調査概要を本稿末に記載

まず、回答が得られた延べ2424番組について、具体的な視聴ジャーニー(個別行動・リアクション)の出現率をみてみます(図2)。

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視聴前、視聴中、視聴後、いずれにおいても6割以上が何かしらの行動・リアクションをしていることが分かります。また、最も出現率が高いのは「その番組・テーマ・出演者について調べた・検索した」で、いずれも30%前後の出現となっています。続くのが、「家族や友人・知人などと話題にしたり盛り上がった」です。また、視聴中のリアクションにおいて、「番組を見ていて、声を出して笑ったり、涙を流したりした」の出現率の高さも目立ちます。総じて、"情報検索""コミュニケーション"そして"笑いや感動(と実際のリアクション)"が、視聴ジャーニーのなかでもよく出現しやすいという結果となっています。

では、これらの行動やリアクションが起きることで、視聴体験満足度が上昇しているのか確認します。視聴前、視聴中、視聴後、それぞれについて個別行動・リアクションの出現個数別に視聴体験満足度(ここでは「非常に満足した」のスコア)を集計して比較しました(図3)。

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視聴前、視聴中、視聴後、いずれにおいても、「0個」と比較して、1個以上出現していれば視聴体験満足度が高くなっていることが分かります。また、全体的に数が多くなるほど視聴体験満足度のスコアが高くなる傾向がみられます。行動やリアクションが数多く起きる、すなわち、視聴ジャーニーが充実することが、視聴体験満足度を高めることに寄与していることがうかがえる結果です。

番組評価指標として、
視聴体験満足度がなぜ重要なのか?

視聴ジャーニーの考え方では、視聴体験満足度が番組の継続視聴意向やメディア期待感の上昇につながるとしています。今回、この点についても調査データから検証を行いました(図4)。

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具体的には、視聴体験満足度(5段階の回答データ)を説明変数とし、継続視聴意向やメディア期待感など下記の9項目を目的変数として回帰分析を実施しました。

目的変数:継続視聴意向やメディア期待感など9項目(それぞれ5段階の回答データ)
● この番組を今後も視聴したいと思った
● この番組を録画・保存しておきたいと思った
● この番組を他の人と話題にしたいと思った
● この番組を他の人に勧めたいと思った
● テレビ番組全般に期待感を持った
● テレビ番組全般に対して好印象になった
● テレビ番組は良いものだ、と思った
● テレビ番組の質の高さを見直した
● テレビやテレビ番組は必要だと思った

分析の結果、9項目いずれに対しても、視聴体験満足度が統計的に有意な正の効果があることが確認されました(図5)。すなわち、視聴体験満足度のスコアが高いほど、継続視聴意向やメディア期待感は高まる効果があるということです。

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さらに、シンプルな「番組内容満足度」ではなく視聴ジャーニーの効果も含めた「視聴体験満足度」が重要であることを検証するために、図5と同様の分析を「番組内容満足度」でも実施し、各回帰分析結果の説明力の比較を行いました(図6)。

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ここでは、目的変数に対する説明変数の説明力を表した指標である「決定係数」を比較しています。スコアが大きい方が、継続視聴意向やメディア期待感などのそれぞれの項目への説明力が大きく、より有効な指標であると考えられます。結果をみると、ほぼすべての項目において、「番組内容満足度」よりも「視聴体験満足度」の決定係数が高い結果となっています。つまり、継続視聴意向やメディア期待感の上昇という観点からみた場合、番組を評価する指標としては「視聴体験満足度」がより重要であることを意味しています。

映像コンテンツの体験という付加価値を含んだ指標
「視聴体験満足度」

この結果は、"映像コンテンツに、体験が付加価値を与える"という観点から整理できます。番組が面白かった、といったコンテンツ自体の評価を表す「番組内容満足度」は、"コンテンツの価値"として中心的な指標です。しかし同時に、視聴者は、視聴ジャーニーのような"体験"をコンテンツの付加価値として享受しており、それも含めて番組を総合的に評価しているといえます。そして、継続視聴するかを決めたり、メディアを評価したりする際には、体験も含めた総合的な評価の影響が大きいと考えられます。この付加価値としての"体験"も含めた総合的な評価を「視聴体験満足度」として測定・把握していると考えると(図7)、「番組内容満足度」よりも継続視聴意向やメディア期待感への説明力が高いのも納得がいく結果と言えます。

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今回は、最新の視聴ジャーニー調査の結果を用いて、番組評価指標としての視聴体験満足度の重要性を検証しました。ひと研究所では、引き続き<視聴ジャーニー>と視聴体験満足度の関係について検証結果を発信予定です。

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【調査データ概要】
ひと研究所 「第2回 視聴ジャーニー調査」
調査方法:インターネット調査
調査対象:日本全国の15~69歳(中学生は除く) かつ 2023年に放送されたテレビ番組で印象に残る番組がある。
サンプル数:1611名(延べ回答2424番組)
 (住民基本台帳の構成比、スクリーニング調査の出現率に応じてウェイトバック集計を実施)
調査期間:2024年1月5日(金)~1月9日(火)

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