「視聴率の調査地区と測定方法」 ビデオリサーチが解説 視聴率基本の『キ』

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「視聴率の調査地区と測定方法」 ビデオリサーチが解説 視聴率基本の『キ』

「視聴率の調査対象地区って具体的にどこ?」
「どのくらいの世帯数で調査しているの?」
と、視聴率がどの地区でどのくらいの世帯数で調査されているのか気になりますよね。

結論、視聴率は全国32地区、10,700世帯で調査しています。
なお、具体的な調査対象地区や調査世帯数の内訳は1章でくわしく解説しています。

全国32地区で、日々視聴率の調査を行っているビデオリサーチが以下の流れで、視聴率の調査対象地区について解説します。
この記事を読めば、視聴率の調査が行われている地区や世帯数が分かるだけでなく、どのように視聴率が測定されているのかを理解できるでしょう。

※本連載は今後も不定期で更新予定です。

記事の中でご紹介しているサービスはこちら【視聴率】

1. 視聴率の調査対象地区と調査世帯数

現在、ビデオリサーチでは関東、関西をはじめとした全国32地区で視聴率調査を行っています。

また、視聴率の調査世帯数は、関東2,700世帯、関西1,200世帯のように調査対象地区によって異なります。

以下図1は、32地区の内訳や地区ごとの調査世帯数についてまとめた図です。

tv240927_01.PNG

1-1. 視聴率とは?

視聴率とは、テレビ所有世帯/所有者のうち、テレビ番組やCMがどのくらいの世帯や人に見られていたかを表す割合です。

視聴率の活用事例として、以下が挙げられます。

・「国民の関心の高さを知る」「社会の動きを知る」という世の中の動向をあらわすデータとして
・放送局の制作・編成に活用するデータとして
・テレビ広告取引の共通指標として

また、視聴率には「世帯視聴率」と「個人視聴率」の大きく2つの種類があります。

「世帯視聴率」とは、テレビを所有している世帯のうちどのくらいの世帯でテレビが見られていたかを表す割合です。
一方で「個人視聴率」とは、世帯内の4才以上の家族全員の中で誰にどのくらいテレビが見られていたかを示す割合です。

なお以下の記事では、世帯視聴率と個人視聴率について図解でより詳しく解説しているので、気になる方はご覧ください。

「個人視聴率と世帯視聴率」 ビデオリサーチが解説 視聴率基本の『キ』

2020年の視聴率調査リニューアル以降、個人視聴率が取り上げられることも増えましたが、「世帯視聴率」「個人視聴率」の違いについてご存知でしょうか?この記事では、両指標の解説や活用法について、視聴率データを測定・提供するビデオリサーチが解説します。

SAMPLE

1-1-1. ~視聴率1%あたりの人数~

関東地区の個人視聴率の場合、視聴率1%あたりの人数はおよそ40.3万人です。ただ、あくまでこの数字は関東地区の個人視聴率をベースにした場合であり、1%の示す値は地区や特性によって異なるため注意が必要です。

なお、「視聴率1%あたりの人数」について、さらに詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

「視聴率1%は何人?」 ビデオリサーチが解説 視聴率基本の『キ』

関東地区の個人視聴率1%は、およそ40.5万人が視聴していることになります。本記事は、視聴率に対する人数の出し方、視聴率の種類などについて、視聴率データを測定・提供するビデオリサーチが解説します。

SAMPLE

2. 視聴率ってどうやって調べているの?調査方法の仕組みについて解説

視聴率は対象となる各世帯のテレビ受像機に専用の機器を設置して測定します。

視聴率調査の開始当時は、大型の機械を設置し、幅15mmの紙テープに1分間隔でパンチし、紙テープを回収しデータ化するというものでした。また、当時機械式で測定していたのは世帯視聴率のみでした。

ちなみに初期の視聴率測定器は「ビデオリサーチの社史WEB版」にてご覧いただけます。

現在、視聴率は、世帯視聴率、個人視聴率ともに専用の機器を設置し測定しており、その仕組みをPM(ピープルメータ)と呼んでいます。

PMは、調査対象となる各世帯のテレビに取り付けられており、TVを視聴するときにPM用のリモコンの中で自身に割り振られた番号ボタンを押すことで、世帯内で「誰がどのチャンネルを視聴しているか」のデータを毎分単位で測定することが可能となっています。

なお、視聴率調査そのものは1962年12月、PM調査は1997年4月から関東地区を皮切りに開始し、2020年4月から全地区での調査を開始しています。

地区ごとの視聴率調査の開始時期やPM調査の開始時期は、以下の図2と図3をご確認ください。

【各地区の視聴率開始時期】tv240927_02.PNG

【各地区のPM調査開始時期】tv240927_03.PNG

2-1.視聴率の調査対象の抽出方法

視聴率の調査対象となる世帯は、ランダムサンプリング(無作為抽出法)と呼ばれる統計学の理論に基づいた手法によって選ばれます。

厳密に言うと、その手法のひとつである「系統抽出法」という手法を用いて調査対象世帯を選んでいます。
なお、以下は調査対象から除かれます。

・病院
・事務所
・寮
・テレビ非所有世帯
・マスコミ関係者のいる世帯

2-1-1. 「系統抽出法」とは?

「系統抽出法」とは、母集団の中から一定間隔(インターバル)でサンプルを抽出する手法です。
例えば、エリア内の総世帯数が60万世帯の地区で調査対象世帯を200世帯抽出する場合、具体的な流れは以下になります。

① 住民基本台帳の世帯数データをもとに調査エリア内の母集団(総世帯数:今回の場合は60万世帯)を求める
② 母集団(総世帯数)に通しの番号をつける
③ ①で求めた総世帯数を調査対象世帯数で割り、インターバルを決める
600,000(エリア内総世帯数)/200(調査対象世帯) =3,000
④ 乱数表※1を用いて、3,000より小さい数字を選びスタートナンバー(1番目の調査対象世帯)を決める
⑤ スタートナンバーを起点に一定の間隔(3,000ずつ)で世帯を抽出

※1 乱数表とは、0~9までの数字をランダムにならべて、縦・横・斜めのどの方向でみても各数字が同じ確率で現れる表のことを指します。

以下は、上記の①~⑤までの流れを図解したものです。

tv240927_04.PNG

2-2.視聴率調査に用いられる「標本調査」とは?

「標本調査」とは、母集団の中から調査対象となる一部を取り出し、それを調べて全体を推定する統計学の理論に基づいた調査です。視聴率調査では、この「標本調査」が用いられています。

ただし、標本調査では、すべての対象を調べるわけではないため、得られる結果には標本誤差(統計上の誤差)が伴います。

~ちなみに~「標本調査」と対をなす「全数調査」とは?

「全数調査」とは、国勢調査や空港の手荷物検査のように、対象全てを調べる調査方法です。
誤差の無い調査結果が得られる一方で、膨大な手間がかかります。

3. まとめ

  • 視聴率調査は全国32地区を対象に行われている
  • 調査対象エリアによって調査世帯数は異なる
  • 視聴率調査はPMと呼ばれる測定器を使用している
  • 視聴率の調査対象は「系統抽出法」と呼ばれる手法で抽出されている
  • 視聴率調査は標本調査によって行われている

本連載は今後も不定期で更新予定です。視聴率に関する様々な基礎知識を発信して参りますので、ぜひお役立ていただけましたら幸いです。

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