視聴データで振り返る『2024パリオリンピック』~全国32地区視聴人数ランキング、配信回数ランキング~

  • 公開日:
テレビ
#Buzz ビューーン! #SNS #X(旧Twitter) #スポーツ #テレビ #パリオリンピック #動画配信 #視聴実態 #視聴率
視聴データで振り返る『2024パリオリンピック』~全国32地区視聴人数ランキング、配信回数ランキング~
この記事はこんな方にオススメ!
  • パリオリンピックの視聴人数・視聴率が高かった番組が知りたい方
  • パリオリンピックの配信再生数が知りたい方

はじめに

第33回夏季オリンピック競技大会(2024)がフランスの首都パリで、7月26日(金)から8月11日(日)の17日間にわたって開催されました。前回大会の東京オリンピックはコロナ禍での無観客開催だったため、今大会はリオデジャネイロオリンピック以来8年ぶりの有観客開催となりました。開会式から閉会式まで会場には熱気が戻り、選手たちの活躍に多くの観客が歓声を上げました。そんな中、日本選手団はパリの地で大きな成果を収め、45個のメダルを獲得し、うち20個は金メダルという素晴らしい活躍をみせました。

今大会では、開催地パリと7時間の時差があるため、テレビ中継は主に夕方から深夜にかけて行われました。特に決勝戦などのメダルをかけた試合は深夜の放送が多く、メダル獲得の瞬間をリアルタイムで見るために寝不足の日々を送っていた人も多かったのではないでしょうか。また、新たにTVerによるほぼ全競技配信も行われ、リアルタイム配信に加え、見逃した競技のハイライトや感動の瞬間を手軽に振り返ることのできるコンテンツが提供されたことで、朝の通勤電車やちょっとした隙間時間など、忙しい日常の中でもそれぞれのライフスタイルに合わせた視聴が可能になりました。こうした状況を踏まえ、テレビ視聴の視点、動画配信の視点に加えて、当社「Buzzビューーン!」を使ったSNSの視点の3つからパリオリンピックを振り返ります。

パリオリンピック関連番組視聴率・視聴人数はこちら

視点1 | テレビ視聴での盛り上がり―日本全国で推計1億人超え

最初に、全国でどれだけの人がテレビでオリンピックを視聴したのか、全国32地区のテレビ視聴率・到達率を用いて推計した視聴到達人数※1をみてみましょう(図表1)。

tv241010_01.png

開会式に先駆け7/24(水)から競技は始まっていますが、「サッカー女子一次R・日本×スペイン」などの競技が放送された7/25(木)には、既に1,444万8千人が視聴しています。開会式が放送された7/26(金)時点で、3,159万8千人となり、柔道、バレー、バスケなど人気種目が本格的に開始した7/27(土)は一気に7,447万2千人まで増加しています。その後、大会2週目の8/3(土)には1億人以上が視聴し、閉会式の再放送や関連特番が放送された8/12(月)までに1億548万3千人がオリンピックの関連番組をテレビ(放送)視聴していたことがわかりました。
結果的には日本の人口の約85%が何らかの番組を視聴しており、日本全国でのパリオリンピックの注目度の高さがうかがえました。

視聴人数ランキングはバレーボールが上位に集中

次に、どの競技がよく見られていたかを全国における視聴人数から振り返ります(図表2)。

図表2【パリ2024オリンピック関連番組 全国32地区視聴人数上位10番組】

順位 放送内容 放送局 放送日 放送
曜日
放送
開始
放送
分数
放送
地区数
平均推計
視聴人数
(万人)
推計
到達人数
(万人)
1 バレーボール男子準々決勝・日本×イタリア NHK総合 2024/08/05 22:00 45 32 1715.0 2466.7
2 バレーボール男子予選ラウンド・日本×アルゼンチン NHKEテレ 2024/07/31 20:55 65 32 1374.3 2278.8
3 陸上・女子マラソン NHK総合 2024/08/01 19:50 65 32 1162.9 2560.7
3 バレーボール女子予選ラウンド・日本×ブラジル NHK総合 2024/08/11 17:00 44 32 1162.9 1844.2
5 卓球男子団体3位決定戦・日本×フランス NHK総合 2024/08/09 19:30 28 32 1021.9 1726.7
6 開会式 テレビ朝日系列 2024/07/27 08:00 180 24 963.2 2584.2
6 バレーボール男子予選ラウンド・日本×ドイツ 日本テレビ系列 2024/07/27 15:55 160 30 963.2 2948.3
8 バスケットボール男子予選ラウンド・日本×ドイツ NHK総合 2024/07/27 22:00 18 32 951.5 1585.8
8 柔道1回戦~準々決勝・女子52kg級/男子66kg級 テレビ朝日系列 2024/07/28 16:30 270 24 951.5 3993.8
10 レスリング3位決定戦~決勝・女子フリースタイル76kg級 NHK総合 2024/08/11 21:00 23 32 928.0 1491.8
※15分以上の番組を対象として集計
※平均推計到達数は1分以上視聴で集計
※同じ競技内容の番組が複数ある場合は、最も推計視聴人数の高い番組のみ記載
※平均視聴人数、到達人数については文末に掲載

まず、上位10番組の放送開始時刻をみると、19:00~22:00頃に集中しており、日本時間でテレビが見やすい時間帯に放送された競技は特に視聴者を集めやすかったと考えられます。その中でも、最も平均推計視聴人数※1が多かったのは、「男子バレーボール準々決勝・日本×イタリア」(8/5(月)22:00〜 45分)で、1,715万人でした。フルセットにもつれる接戦の末、惜しくも日本が破れてしまったものの、多くの視聴者が手に汗握る展開に釘付けになりました。この試合を筆頭に、2位「男子バレー予選R・日本×アルゼンチン」(7/31(水)20:55~ 65分)、3位「女子バレー予選R・日本×ブラジル」(8/11(日)17:00~ 44分)、さらに6位「男子バレー予選R・日本×ドイツ」(7/27(土)15:55~ 160分)のバレーボールが上位を占めました。視聴人数をみる限り、オリンピック前に行われていた強豪国による「ネーションズリーグ」で好成績を残したバレーボールのメダル獲得に注目が集まったオリンピックだったといえそうです。それ以外に「陸上・女子マラソン」(8/1(木)19:50~ 65分)や「卓球男子団体3位決定戦・日本×フランス」(8/9(金)19:30~ 28分)など人気競技がベスト5にランクインしています。いずれも、テレビが見やすい時間環境下であったことが視聴に拍車をかけたといって良いのではないでしょうか。

オリンピック期間中は視聴率が上昇

続いて、オリンピック期間の視聴率がどうであったのかをみていきましょう(図表3)。この図表はオリンピック期間と、通常期間※2の平均視聴率の差分を示したヒートマップになります。これをみると、オリンピック期間中6:00〜9:00以外のほとんどの時間帯で視聴率が上昇していることがわかります。特に、テレビでオリンピック中継が多く行われていた夕方から深夜にかけて、通常時との差分が大きくなっており、その中でも土曜日の23:00〜25:00の時間帯で視聴率の増加量が大きくなっていました。
このように通常時と比べて、オリンピック期間中のテレビの全体視聴量は増加しており、人々の高い関心が寄せられていたことがわかりました。

tv241010_02.png

視点2 | 配信での盛り上がり

動画配信でのオリンピック視聴は総視聴UB数1,700万超え

ここからは、動画配信の視聴について振り返っていきます。オリンピックの動画配信コンテンツのブラウザ単位での視聴を示す総視聴UB数※3の値は1,753万UBでした。本大会の動画配信では、リアルタイム配信(LIVE)に加え、前日に行われた競技のハイライトをまとめて見ることのできる「デイリーハイライト」や各競技のハイライトなどのコンテンツ(VOD)も提供されました。そのため、忙しさや時差の関係で、リアルタイム配信やテレビ中継で競技を見ることができなかった人でも、競技の結果やメダル獲得の瞬間をハイライトで手軽に追えるようになり、最終的に1,700万を超える総視聴UB数につながったのではないかと考えられます。

ライブコンテンツ再生回数で最も多かったのは男子バレーボール予選の「日本×ドイツ」。配信でしか見られない試合もランクイン

一方、リアルタイム配信(LIVE)コンテンツの動画再生回数ランキング(図表4)をみると、最も再生回数(imp)の多かったコンテンツは、「男子バレーボール予選 日本×ドイツ」で、174万9,497回再生でした。男子バレーボールの試合がテレビ視聴とともに、動画再生回数でも1位にランクインし、ここでも男子バレーが日本中で注目されていたことがわかります。

図表4【パリ2024オリンピックリアルタイム配信(LIVE) 再生回数上位10コンテンツ】

順位 番組詳細 配信日 配信開始 配信分数 再生回数(imp)
1 バレーボール 男子予選 日本×ドイツ 7月27日 15:40 175 1,749,497
2 卓球 女子団体 決勝 日本 × 中国 / ゴルフ 女子 最終ラウンド ほか 8月10日 16:15 590 1,632,289
3 バスケットボール 男子予選 日本×ブラジル 8月2日 17:30 142 1,574,139
4 ゴルフ 女子第4ラウンド 8月10日 15:50 569 1,445,047
5 柔道 女子48キロ級・男子60キロ級 予選~決勝 ほか 7月27日 16:15 612 1,284,105
6 ゴルフ 男子第3ラウンド 8月3日 15:50 539 1,207,312
7 卓球 男子団体 3位決定戦 日本 × フランス 8月9日 16:40 229 1,076,128
8 柔道 女子63キロ級・男子81キロ級 予選~決勝 7月30日 16:30 600 1,070,057
9 サッカー女子 準々決勝 日本 × アメリカ 8月3日 21:15 215 1,067,084
10 バスケットボール 男子 決勝 アメリカ × フランス 8月11日 4:05 194 984,600
※集計期間:2024年7月24日(水)~8月12日(月)
※TVerおよびYahoo!のオリンピック特設ページに掲載されているコンテンツが対象
※TVer社より提供された番組情報(番組名、枠切り)を用い算出
※0時~24時を1日の単位として表記

また10位には、「男子バスケットボール決勝 アメリカ×フランス」(98万4,600回再生)といった日本代表以外の試合もランクインしています。この試合は、テレビで生中継はなかったものの、世界最高峰のバスケットボールリーグNBAで活躍するプレイヤーを数多く擁するアメリカ代表と、予選リーグで日本とも接戦を繰り広げた開催国のフランス代表の試合として、バスケットボールファンの間で大きな注目を集めました。このように動画配信における視聴では、配信でしか見られないそれぞれの好みに合ったコンテンツも楽しまれていたことが推察されます。

視点3 | SNSでの盛り上がり

X(旧Twitter)のポスト数が最も多かったのは7/27(土)の約47万9,000件

最後に、当社サービス「Buzzビューーン!」を利用して、パリオリンピックに関するX(旧Twitter)上でのポスト数やポストの内容から、どのような盛り上がり方をみせていたのかを振り返ります。まず、「オリンピック」のポスト数推移(図表5)をみると、開会式に加え、柔道、バレー、バスケなどの人気種目が本格的に開始した7/27(土)が約47万9千件で最も多くなりました。

tv241010_03.png

これは(図表1)でテレビ視聴人数が大幅に増加した日と一致しており、ポスト数とテレビ視聴からも開会式の盛り上がりが確認できました。また、柔道に阿部兄妹が出場した翌日の7/28(日)にも約34万件のポスト数を記録しました。その後は徐々に低下しているものの、大会最終日までのほとんどの日で、10万件を超えるポスト数を記録しました。このように、ポスト数からは開会式直後に特に盛り上がり、その後、最後まで関心を持って見られていた大会であったことがわかりました。

ポスト数ランキング― 8/3(土)「柔道」にポスト数が集中

さらに、X(旧Twitter)上でどの日のどの競技が盛り上がっていたのかを、競技別のポスト数ランキング(図表6)でみていきます。

図表6【競技別に最もポスト数が多かった日ランキング】

順位 競技名 ポスト数(件) 日付 内容
1 柔道 246,265 8月3日 混合団体決勝 日本銀メダル
毎分最高値はデジタルルーレットが行われた25:46の5,997件
批判的な投稿が多かった
2 バスケットボール 177,444 7月30日 男子1次リーグ 日本×フランス 日本惜敗
毎分最高値は試合終了まで残り時間わずかだった25:55の4,291件
応援する投稿が多かった
3 バレーボール 147,111 8月5日 男子準々決勝 日本×イタリア 日本惜敗
毎分最高値は22:41の3,054件であり、悔しいという思いが投稿されていた
4 開会式 145,865 7月27日 NHK総合とEテレで7/26 25:27~生中継
毎分最高値は7/26の27:16の521件
マリーアントワネットの演出部分
5 ブレイキン 103,140 8月10日 Shigekixが3位決定戦で敗れる
毎分最高値はHIRO10の敗退が決まった24:51の892件
負けたが感動したという投稿が多かった
6 スケートボード 82,246 7月29日 男子ストリート決勝 堀米雄斗が金メダル
毎分最高値は25:26の1,326件
大逆転で二連覇を祝福する投稿が多かった
7 卓球 72,961 8月10日 女子団体決勝 日本×中国
毎分最高値は試合中の22:31の1,187件
試合内容を称賛する投稿が多かった
8 馬術 59,742 7月29日 総合馬術団体障害 日本銅メダル
毎分最高値は銅メダル以上が確定した20:29の1,413件
9 体操 51,669 7月29日 男子団体総合決勝 日本金メダル
毎分最高値は逆転金メダルが決まった27:10の3,866件
10 陸上 44,457 8月10日 男子マラソンなど
毎分最高値は男子マラソン赤﨑が6位入賞した17:09の442件
※「X」でのポストをビデオリサーチにて解析
※「陸上」...設定キーワードに種目名も含まれます
※競技別キーワードの対象期間:2024年7月27日(土)~8月12日(月)(一部キーワードは除く)
 通常の「Buzzビューーン!」の対象番組とは別に、個別に設定して取得した結果となります
※ポスト数は5:00-29:00の24時間分をまとめたもので、ポスト数は試合中や中継中に多くなる傾向がありますが、深夜に行われた場合は翌日に多くなる場合があります。

最も多かったのは8/3(土)の「柔道」で、ポスト数は24万6,265件でした。この日は、東京大会から採用された種目である「柔道 混合団体」の試合が行われました。決勝の日本×フランスは、抽選によって階級を決める代表戦の末、フランスに惜しくも敗れ、日本は銀メダルを獲得しました。選手たちを称える声もある一方で、X(旧Twitter)上では審判の判定や代表戦の組み合わせを決めるデジタルルーレットに対する批判的なポストもみられました。ポスト数が最も多い時点である毎分最高値はルーレットが行われた25:46の5,997件でした。
それに次いで7/30(火)「バスケットボール」(17万7,444件)、第3位は8/5(月)の「バレーボール」(14万7,111件)でそれぞれ人気競技がランクインしていました。
また、ベスト10の中には7/29(月)の「馬術」(5万9,742件)もランクインしており、毎分最高値は「初老ジャパン」の愛称で注目された日本代表が、92年ぶりの銅メダル以上を確定させた20:29の1,413件でした。「馬術」は地上波では放送されていませんでしたが、さまざまな情報を入手しオリンピックを楽しんでいたことがポストから垣間みられました。

おわりに

今回は、テレビと動画配信、SNSでのパリオリンピックの視聴実態を確認しました。今大会は、7時間の時差があったものの、テレビの視聴は1億人を超え、特に夕方から深夜の時間帯での視聴が増える結果となりました。また動画配信での視聴により、視聴形態が充実し、ライフスタイルにあった視聴が可能になったことや配信のみの競技にも注目が集まり、オリンピックへの視聴の広がりがみられる結果となりました。
次回、2028年のロサンゼルスオリンピックでは、選手たちのどのようなドラマや活躍を見ることができるか、その光景を映し出すテレビや動画配信がどのような進化を遂げているのかにも期待したいと思います。

(※1)
〈平均視聴人数〉
その番組の放送時間を通じて、平均でどれだけの人が視聴していたかを推計した値。全国32地区の個人全体4才以上の視聴率を推計人口マスタ(*)に掛け合わせて推計。 
〈到達人数〉
個人全体4才以上における1分以上の番組視聴を"見た"と定義し、その番組がどれだけの人が視聴したのか(到達したのか)を推計した値。全国32地区の個人全体4才以上の到達率を推計人口マスタ(*)に掛け合わせて推計。
*推計人口マスタ:住民基本台帳、国勢調査より推計した人口・世帯数にエリア内特性調査(当社)より推計した自家用TV所有率を乗じたものです。平均視聴人数、到達人数には、当社が視聴率調査を実施している調査エリアを全国に拡大して推計したものを使用
(※2)
通常期間:前四週の曜日別毎1時間の平均
(※3)
総視聴UB数:・TVerおよびYahoo!オリンピック特設ページでのリアルタイム配信(LIVE)と各競技のハイライトなどのコンテンツ(VOD)すべてを対象とした動画再生ユニークブラウザ数 ・Yahoo! のSDブラウザ(iOS)については、ITPの影響でUB≒Impとなります ・集計期間:2024年7月24日(水)~8月12日(月)

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「Buzzビューーン!

【関連記事】
パリ2024オリンピック競技大会開会式の<視聴ジャーニー>をXデータから探る!~Buzz分析を活用した視聴者行動研究~
2021年のテレビ視聴動向まとまる 東京五輪に彩られた一年

サービス一覧

関連記事