レギュラーコンテンツでみる、番組ジャンルごとの<視聴ジャーニー>の違い〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜
- この記事はこんな方にオススメ!
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- 映像コンテンツ視聴促進のための施策を検討している方
- 視聴者がどのように映像コンテンツを楽しみ、視聴体験満足度が高まるのか興味がある方
要旨
スポーツ/アニメ・ドラマ/バラエティでは、番組ジャンル間で視聴ジャーニーに傾向差がみられ、総じて、スポーツは「オンラインでの盛り上がり」、ドラマ・アニメは「オフラインでの盛り上がり」、バラエティは「関連コンテンツへの接触」に特徴がある。
番組ジャンルによる視聴ジャーニーの違いを探る
ひと研究所では、テレビ番組などの映像コンテンツの「視聴前」「視聴中」「視聴後」で起きる行動やリアクションである<視聴ジャーニー>が、コンテンツの"視聴体験満足度"を高めるという視点で、生活者研究を進めています(図1)。今回は、最新の調査データから、番組ジャンルの違いによる視聴者の行動やリアクションの違いについて検証した結果をご紹介します。
前回までの記事はこちら
<視聴ジャーニー>は番組ジャンルで違う!?〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜
"視聴体験満足度"が高まる生活者の<視聴ジャーニー>は何か?〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜
"視聴体験満足度"は継続視聴やメディア評価につながる重要指標である〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜
<視聴ジャーニー>について詳しくはこちら
映像コンテンツ戦国時代、視聴者の囲い込みには<視聴ジャーニー>活性化が効く〜映像視聴の生活者研究シリーズ〜
視聴ジャーニーの実態(最新調査結果より)
今回ご紹介するのは、2024年4-6月に放送されたテレビ番組を対象に実施した視聴ジャーニーに関する調査の結果です。研究用に選定した特定10番組について、各番組の視聴者に番組評価や視聴ジャーニーの実態を質問しています。
今回の調査は、前回までの記事でご紹介していた調査と、調査対象の番組を変更しています。今までは、1年間に放送された番組の中で特に印象に残った2番組を対象に、視聴ジャーニーの調査を実施していました。今回からは、3か月間で放送された特定10番組について、視聴ジャーニーの調査を実施しています。今回以降の調査では、より日常的な、個別番組における視聴ジャーニーの知見の蓄積を図っていく予定です。
※調査概要を本稿末に記載
それでは、10番組(2024年4-6月放送のもの)に関する回答について、具体的な視聴ジャーニー(個別行動・リアクション)の出現率をみてみます(図2)。視聴前、視聴中、視聴後、いずれを見ても5割以上の人が何かしらの行動・リアクションをしていることが分かります。続いて、10番組をスポーツ/アニメ・ドラマ/バラエティのジャンルに分けて分析を進めます。
【スポーツ】SNSでの投稿・閲覧など、"オンライン"で楽しむ
まずスポーツについて、他ジャンルに比べて、視聴ジャーニーの行動・リアクションの出現率が高かったところに注目します(図3)。スポーツは、視聴前・視聴中・視聴後いずれにおいても、「感想を言ったり書いたりした」「感想を聞いたり読んだりした」(SNSやウェブサイトも含む)が高い傾向となっています。また、視聴前・視聴後については「考察を聞いたり読んだりした」「考察したりそれを書いたりした」(SNSやウェブサイト含む)、視聴中については「家族や友人・知人などと話題にしたり盛り上がった」も高い傾向となっています。
スポーツの視聴ジャーニーは、視聴前・視聴中・視聴後いずれにおいても、SNSでの投稿や閲覧といったオンライン上の盛り上がりが、他ジャンルに比べて特徴的です。スポーツは、その競技の知識のレベルによって試合の見方や楽しみ方が異なることが想定されます。SNS上で同じくらいの知識の人と一緒に観て楽しんだり、詳しい人が解説したものが拡散されたりといったようなオンライン上での盛り上がりに繋がりやすいのではないでしょうか。また、中継されるスポーツの試合は、オリンピックやワールドカップなど、世間的にも話題となる大規模なイベントも多いです。SNS上で、みんなで盛り上がりたい、というお祭り的な楽しさを求めている人がいることも想像されます。
【ドラマ・アニメ】家族や友人と、"オフライン"で楽しむ
次に、ドラマ・アニメについて、他ジャンルに比べて、視聴ジャーニーの行動・リアクションの出現率が高かったところに注目します(図4)。ドラマ・アニメは、視聴前・視聴中・視聴後いずれにおいても、「家族や友人・知人などと話題にしたり盛り上がった」「家族や友人・知人などに視聴をすすめた」「録画・視聴予約、TVerのお気に入り登録」が高い傾向となっています。また、視聴後については、「関連する音楽コンテンツを見聞きした」「番組を2回以上視聴した」も高い傾向です。
ドラマ・アニメの視聴ジャーニーの特徴としては、家族や友人・知人などとの会話のような、オフラインでの盛り上がりが挙げられます。ドラマ・アニメはスポーツと比較すると事前知識があまり必要ではなく、また熱量に関わらずみんなが楽しめるコンテンツであることも多いため、コンテンツを共通の話題にしながらオフラインで盛り上がることが起きやすいのではないでしょうか。家族や知人と一緒に見ることで、会話の種にもなりやすく、ドラマ・アニメが日常的なコミュニケーションの材料になっていることがうかがえます。
【バラエティ】映像や音楽など、"関連コンテンツ"を楽しむ
最後に、バラエティについて、他ジャンルに比べて、視聴ジャーニーの行動・リアクションの出現率が高かったところに注目します(図5)。バラエティは、視聴前・視聴中・視聴後いずれにおいても、「SNSのフォロー・チャンネル登録」「関連する番組を見た」「関連する映像コンテンツを見聞きした」が高い傾向となっています。
バラエティの視聴ジャーニーの特徴としては、関連コンテンツへの接触、SNSのフォロー・チャンネル登録が挙げられます。バラエティにおいては、番組を気に入った場合、過去に放送されていたものや未放送動画などの関連コンテンツも観たくなり、SNSのフォロー・チャンネル登録に繋がっていることが想像されます。
番組ジャンルごとの視聴ジャーニー比較まとめ
今回は、番組ジャンルごとの<視聴ジャーニー>について分析しました。各ジャンルでの視聴ジャーニーの特徴としては、
スポーツ・・・SNSでの投稿・閲覧など、"オンライン"で楽しむ
ドラマ・アニメ・・・家族や友人と、"オフライン"で楽しむ
バラエティ・・・映像など、"関連コンテンツ"を楽しむ
が挙げられます。前回までの調査結果と同様に、コンテンツの特性が視聴ジャーニーの違いを生むことが分かる結果となっていました。
それぞれについて、もう少し具体的に考えてみますと、例えば下記のような行動が想像できます。
スポーツ・・・SNSで、スタメン発表・試合・戦術・好プレー・インタビューなどについて盛り上がる
ドラマ・アニメ・・・友人におすすめの恋愛ドラマを勧める、主題歌を楽しむ、TVerでお気に入りのシーンをもう一度見る
バラエティ・・・出演者のチャンネルでバラエティ出演の裏話をする動画を見る、番組公式チャンネルで未公開シーンを見る
上記のような行動を視聴者にとってもらうことで、視聴者はより楽しみ、視聴体験満足度の高まりにもつながると考えられます。
前回調査の分析から、番組ジャンルによって視聴ジャーニーの行動やリアクションの起き方に違いがあることが分かっていましたが、今回の結果でも同様の傾向を確認することができました。さらに今回は個別番組の視聴者を対象としサンプル数を多く集めたことで、ジャンルごとの違いについてさらに踏み込んで確認することができました。
ひと研究所では、今後も、個別番組における視聴者全体の視聴ジャーニーの知見の蓄積を図っていき、引き続き<視聴ジャーニー>に関する研究を発信していきます。
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【調査データ概要】
ひと研究所 「視聴ジャーニー クール調査2024年4-6月」
調査方法:インターネット調査
調査対象:日本全国の15~69歳(中学生は除く)かつ 2024年4-6月に放送されたテレビ番組(特定10番組)について、いずれか視聴経験がある。
サンプル数:2907名
調査期間:2024年8月2日(金)~8月3日(土)
調査内容:2024年4-6月に放送されたテレビ番組(特定10番組)のうち、視聴経験のある番組について、番組評価や視聴ジャーニーの実態を質問