番組間の視聴の重複はどのくらい?番組を見ていない人にPRするためには?<重複視聴>

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番組間の視聴の重複はどのくらい?番組を見ていない人にPRするためには?<重複視聴>

視聴者は、特定のテレビ番組だけ視聴するのではなく、裏番組(同時間の他局の番組)も見ている場合もあります。

視聴データを分析することで、どの裏番組を見ているのかを確認することが可能であり、またその番組視聴者が、他の時間帯のどんな番組を見ているのかを視聴の重複状況から明らかにできます。

さらに番組を見ていない人が、自局のどんな番組を見ているのかを確認することで、番組宣伝をどこで行うか、どの番組に番宣ゲストに行くのかなどの施策検討にも利用できます。

視聴率基本の『キ』~分析実践編~」シリーズでは、視聴率のさまざまな分析方法と活用例を紹介しています。今回はシリーズ第6弾として、視聴率データを計測・提供する株式会社ビデオリサーチで日々視聴率の分析に携わる現役社員が『重複視聴(視聴者の重なり)』について解説します。

また、このシリーズで紹介する分析メニューは、ビデオリサーチが提供する視聴率集計システム【iNEX3】で集計が可能です。

記事の中でご紹介しているサービスはこちら【視聴率】

なお、「視聴率」についての基本解説は、【視聴率基本のキ】シリーズに掲載していますのでこちらも合わせてご覧ください。

1.<重複視聴>はどんなメニューか?どんなシーンで使うのか?

『重複視聴』は、複数番組間の視聴の重複を分析するメニューです。番組間の視聴の組み合わせを確認することもできます。
番組A・Bの2番組であれば、両方を見た人の割合もわかりますし、番組Aだけ、番組Bだけを見た割合もわかります。

1-1.<重複視聴>はどんなシーンで使うのか?

番組間の視聴者の重なりは、主に以下3つのようなシーンで活用できます。

①番組の競合となる裏番組を知りたいとき
②番組視聴者がどの放送回とどの放送回を見ているか知りたいとき
③番組を見ていない人に番宣を出すための効果的な時間帯を知りたいとき

それぞれ詳しくご紹介します。

①番組の競合となる裏番組を知りたい

ある番組の視聴者がどの裏番組を見ているかを分析し、重複が多い裏番組は競合となっていることがわかります。

②番組視聴者がどの放送回とどの放送回を見ているか知りたい

毎週放送されるレギュラー番組などの場合、各回の視聴の組み合わせを見ることで、どの回で視聴者が離脱してしまったのか、一度離脱した人がまた戻ってきたのはどの回かを確認することができます。

また、見た人が多い放送回を組み合わせて分析することで、その番組内容から視聴者の好みの企画やコーナーを推測することができ、今後の番組内容の企画検討などに役立てることもできます。

③番組を見ていない人に番宣を出すための効果的な時間帯を知りたい

番組視聴者を増やすために番宣を出したい場合、その番組を見ていない人たちが自局の他の時間帯でどの番組を見ているのかを確認します。
もし番組Aを見ていない人が自局の番組Bをよく見ていた場合、番組Bに番組Aの告知を入れることで番組Aの存在をアピールできる可能性が高いことがわかります。

なお、この分析を行う際には番組を視聴したかどうかの視聴判定を設定して進めます。
視聴判定とは、「番組を見た」とする基準のことで、通常は「放送分数の1/3以上」と視聴判定を設定する場合が多いです。

視聴判定については、以下の記事にてより詳しく解説しておりますので、そちらもご確認ください。

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2.分析例とデータの見方

『重複視聴』のデータの見方について、主なアウトプットイメージからご紹介します。
図1は3番組間の視聴者の重なりをベン図で表したものです。番組A~番組Cのいずれかを視聴した人(14.6%)のうち、3番組とも視聴した人の割合を確認できます。また、番組Aだけ見た人や、番組AとBを見た人など、パターン別にどのくらいの割合だったかもわかります。

図1 3番組間の視聴者の重なり

番組が4番組以上ある場合は、ベン図では描けませんが、図2の重複視聴表で確認することができます。

図2 重複視聴表 (視聴番組の組み合わせ)

図2の表の◆はその番組を見たことを表します。
『到達率』は、その番組の組み合わせで視聴した人の割合を表します。
『構成比』は、集計した番組をいずれか見た人のうち、その組み合わせで視聴をした人のシェアを表します。

図2の例で見ると、番組Bだけを見た人(赤い囲み)は4.7%、番組A~番組Fのいずれかを見た人の中での構成比は7.5%と比率が大きいことがわかります。
また、番組A~番組Fをすべて見た人(青い囲み)も0.4%いたことがわかります。

さらに、複数の番組の中で、特定の2番組を見た人がどれだけいるかを確認できるのが図3のクロス表です。①は表の左(表側)の番組を見た割合で、②は左の番組と表の上(表頭)の番組の重複の割合となります。
番組Aの場合、番組B~番組Fでは番組Dとの重複が多いことがわかります。

図3 クロス表 (2番組間の重複)

2-1.ドラマ番宣を考えるための分析例

では、『重複視聴』を利用した分析例をご紹介します。

今回は、ドラマAの第1話を見ていない人に対し、ドラマAに興味を持ってもらうために、ドラマ出演者を自局のどのバラエティ番組にゲスト出演させたら効果的か検証することを想定してデータを見ていきます。

図4は、ドラマAの第1話放送時に、"ドラマAを見ずに同時間帯の他局の番組を見ていた人"が自局の夜間のバラエティをどのくらい視聴しているのかを確認したものです。
※「視聴判定」は「放送分数の1/3以上」として分析

図4 ドラマA時間帯他局視聴者とGP帯バラエティ視聴者の重複率

"ドラマAを見ずに同時間帯の他局の番組を見ていた人"は、自局バラエティの中では、バラエティDとの重複が最も多くなっています。

このことから、ドラマの主要キャストをバラエティDのゲストとしてキャスティングする、バラエティDの枠内にドラマAの番宣を出すことで、ドラマAを見ていなかった人を新規視聴者として流入させる対策が考えられます。また1番組だけでなく複数番組を利用できる場合は、重複の多いバラエティF・バラエティBも候補にあがります。

3.まとめ

今回は、番組の視聴者の重なりを知ることができる『重複視聴』について、分析事例を交えてご紹介いたしました。
今回ご紹介した分析例の他にも、番組がリニューアルした際、リニューアル前の視聴者がリニューアル後に視聴し続けたかを確認することもできます。また、番組視聴者が他にどのような番組を見ているのかを明らかにすることで、現状の番組視聴者の好みを知り、企画内容を検討する際の参考にすることも可能です。

ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽に以下よりお問い合わせください。

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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「視聴率
・調査時期:常時(発行形態 日報/週報)
・対象地区:全国32地区

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