番組は家族と一緒に見ているのか?1人で見ているのか? <視聴者の組み合わせ>

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#テレビ #視聴実態 #視聴率 #視聴率基本の『キ』
番組は家族と一緒に見ているのか?1人で見ているのか? <視聴者の組み合わせ>

テレビ番組は1人で見たり、誰かと一緒に見たりなど、番組や時間帯により見られ方はさまざまです。時間やデバイスを選ばず1人1人が自由に映像コンテンツを視聴できる現在でも、複数人で視聴し会話が生まれるきっかけにもなる点は、テレビの魅力の一つとして続いています。

ビデオリサーチの視聴率調査は、世帯とその世帯内にお住まいの個人の両方ともを調査対象としているため、番組を見ている世帯の中で、1人で見ているのか?家族と一緒に見ているのか?などの視聴の組み合わせも分かります。

今回は、視聴率データを計測・提供する株式会社ビデオリサーチで日々視聴率の分析に携わる現役社員が『視聴者の組み合わせ』について解説します。「視聴者が誰とテレビを見ているのかを知りたい」といった視聴の仕方に着目した分析を行うことで、番組制作や編成の参考となる重要な示唆を得ることができます。

また、このシリーズで紹介する分析メニューは、ビデオリサーチが提供する視聴率集計システム【iNEX3】で集計が可能です。

記事の中でご紹介しているサービスはこちら【視聴率】

なお、「視聴率」についての基本解説は、【視聴率基本のキ】シリーズに掲載していますのでこちらも合わせてご覧ください。

1.「視聴者の組み合わせ」はどんなメニューか?どんなシーンで使うのか?

「視聴者の組み合わせ」分析は、番組や時間帯について、視聴しているのは世帯の中で1人か複数人か、またそれぞれどの性年代であるかを確認できるものです。

番組平均視聴率が同じでも、1人視聴が多いのか複数人視聴が多いのかによって、その番組の見られ方は大きく異なります。なぜなら、複数人で見ている場合は、番組が家族の話題の中心になっているかもしれませんし、1人で見ている場合は集中して見ていることも考えられるからです。

さらに、複数人で見ていても、その組み合わせによってテレビの前の様子は変わって来るでしょう。「子どもと夫婦」の組み合わせでは、食事の時に家族皆が好きな番組を見ていることや、休日に子どもが好きな番組を親も一緒に見ている場合もあります。「高齢夫婦」の組み合わせでは、2人の習慣で一緒に見ている可能性もありますし、週末の予定を立てるために情報収集をしていることも考えられます。

このように、視聴の組み合わせはテレビの前の視聴者像を具体的に確認できるため、視聴理由の推測や、番組に求められていることを考察するのに役立てることができます。

1-1.どんなシーンで使うのか?

『視聴者の組み合わせ』分析は、ターゲットとなる視聴者に見られているかを確認する場合や、現状の見られ方をふまえて新たに加えたい視聴者ターゲットを検討する場合に使われます。

番組視聴者は、当然各番組によって異なり、子どもが多いこともあれば、30代女性がメイン、50代男性がメインなどさまざまです。ここまでは性年代別の視聴率や視聴者の構成割合を確認することでも分かります。

『視聴者の組み合わせ』分析では、ある番組のコンセプトが「子どもと親が一緒に楽しんで欲しい」「大人同士でゆっくり過ごして欲しい」の場合、実際に番組が親子で見られているのか、大人同士で見られているのかなど、視聴者の組み合わせで結果の確認ができます。

例えば、分析によって情報番組が親子で一定数見られていることがわかった場合、「家族で楽しめるイメージを訴求すると視聴者増加につながるかもしれない」、「子どもの理解が進むよう、説明は図解を用いてより分かりやすくする」などの発見につながる場合もあります。

なお、番組を視聴したかどうかの視聴判定条件は、分析時に設定します。視聴判定とは、「番組を見た」とする基準のことで、通常は「放送分数の1/3以上」と視聴判定を設定する場合が多いです。

視聴判定については、以下の記事にてより詳しく解説しておりますので、そちらもご確認ください。

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2.分析例とデータの見方

図1は、『視聴者の組み合わせ』分析のアウトプットイメージの一つです。視聴している世帯を100として、1人視聴の世帯/複数人視聴の世帯それぞれの割合を示しています。

この例では、1人視聴世帯の方が5割を超えており1人で見られやすい番組という印象を持たれるかもしれません。ただ、テレビ番組の半数以上はこの1人視聴世帯割合が70~85%という実態※があります。そのため、この番組は比較的、家族で一緒に見られているとも言えます。
※関東地区2024年11月11日~17日・6~24時に放送された30分以上のレギュラー番組(地上波7局・723番組)より

図1 視聴世帯のなかでは、 一人での視聴が多い?複数人での視聴が多い?
実際の分析では、これらの性年代内訳の結果を使う場合が多く、そちらの例はこの後の図2です。

2-1.番組の分析例

ここからは、実際の『視聴者の組み合わせ』分析例を紹介します。図2は、同じ時間帯で放送され、視聴率もあまり変わらない2つの番組の、1人視聴/複数人視聴とその性年代・組み合わせの内訳を示しています。どちらも男女4-12才や、それらを含む子ども+親の割合が多く、若い人のいる世帯に楽しまれている番組と言えます。

図2 1人視聴・複数人視聴の内訳は?

さらに見て行くと、番組Aの複数人視聴は「子ども+夫婦」「子ども+母」の組み合わせの他にも、「高齢夫婦」もあります。1人視聴の方も「男女4-12才」及び「男50才以上」「女50才以上」が多く、老若男女問わず、且つ幅広い組み合わせで見られている番組であると分かります。

一方で、番組Bも「子ども+夫婦」「子ども+母」の組み合わせは多いです。ただこの2つの組み合わせ合計は番組Aより若干少なく、その分「男女4-12才」の1人視聴が多い結果です。加えて「男女13-19才」「男20-34才」「男35-49才」と、子どもから大人まで主に男性が、自分1人でも選んで見てくれる番組と言えます。

このように視聴者の性年代は同じでも、番組によってテレビの前にいる様子が異なることが推測でき、設定したターゲットとなる視聴者像と合っているかのチェックをすることができます。

また、仮にそれぞれの番組で若い世代の視聴維持・拡大を図る場合、番組Aは子と親の組み合わせで複数人の視聴は多いものの、1人視聴が少ない点から、子ども主導で20~40代も見ていることが推測されます。

よって、子どもが飽きてしまえば、親世代もろとも番組から離れる恐れがあるため、引き続き子どもが楽しみ、その様子を安心して見守れる内容の充実が大切だと言えるでしょう。

番組Bは、家族で見られている強みはそのままに、単身世帯の増加が続く社会情勢と合わせると、1人でも見られていることに注目しても良いかも知れません。特に男性に向けたコンタクトポイントにも番組情報を発信していくことが考えられます。

3.まとめ

今回は番組が1人で視聴されたのか?複数人で視聴されたのか?を知ることができる、『視聴者の組み合わせ』について、分析事例を交えてご紹介しました。

性年代別の視聴率に加え、『視聴者の組み合わせ』もふまえて番組の見られ方を確認することで、視聴者がテレビの前にいるシチュエーションがさらに明らかになり、チェックがより具体的に、その後の考察もより深く進める材料になります。

また、広告を出稿する際、誰かと一緒に見られた方が望ましい(例えば、購入希望者と実際の購入者が異なる商品・サービス)場合は、その組み合わせで見ている番組や時間帯はどこかを探す参考にも使えます。

ご興味をお持ちいただけましたら、お気軽に以下よりお問い合わせください。

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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「視聴率
・調査時期:常時(発行形態 日報/週報)
・対象地区:全国32地区

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