テレビ番組に関するXへのポスト状況を可視化!新機能が加わり、ファン層の「拡がり」と「深さ」をより詳細に分析
ビデオリサーチが提供する「Buzzビューーン!」は、関東エリアのキー局5局とNHK総合※の番組を対象(一部時間帯を除く)にX上のポストを解析し、「視聴質」を共通の基準で横並びに比較・分析するサービスです。
テレビ番組の「視聴質」をXのポストを解析することで可視化する本サービスは、放送局は視聴率と並ぶ番組評価の新評価軸に、制作会社は視聴者のリアルな反応の分析に、広告会社は番組のタイム提供価値の一指標として...など、多様な目的で活用できます。
サービス開始以来進化を重ね、2024年4月にポスト数の集計を「毎60分」から「毎分」にバージョンアップ。さらに、2025年4月には新評価軸として「ユニークユーザー数(以下、UU数)」と「平均投稿回数」を追加します。今回は、「Buzzビューーン!」の新機能とともに最新活用事例を紹介します。
※ローカル番組やラジオ番組、動画配信のコンテンツなど、各種番組コンテンツもオプションで個別対応が可能です
【話し手】
テレビ・動画事業ユニット テレビ事業グループ
茅野恭平
放送局への営業、調査の実務管理を経て、テレビ番組に関する調査や新サービスの開発を担当。「Buzzビューーン!」の立ち上げから携わり、現在は同サービスの統括をしている。
テレビ・動画事業ユニット テレビ事業グループ
白岩佳子
放送局、広告会社、広告主などに向けた調査分析を幅広く担当。この経験を活かし、現在は「Buzzビューーン!」のデータ分析も担当している。
新機能1:新評価軸「UU数」「平均投稿回数」
番組の注目度が加速する「潮目」を見極める
2025年4月に追加される「Buzzビューーン!」の新機能について教えてください。
茅野 該当番組に関するXのポストを解析し、「実際に何人の人がポストしたのか(UU数=ファン層の拡がり)」と、「1人がどのくらいの回数ポストしたのか(平均投稿回数=作品に対する熱意の深さ)」を確認することができる機能です。総ポスト数だけ見ると同じ1万件であっても、1万人の人が1回ずつ投稿しているのと、100人が1人100回ずつ投稿しているのとでは番組の見られ方は異なっています。総ポスト数を「UU数」と「平均投稿回数」に分けて見ていくことで、その番組の個性がより見えてきます。
白岩 例えば、2025年1月クールのレギュラードラマについて、ポスト数トップ10の放送回の「UU数」と「平均投稿回数」を分析すると、このようになります。
これを見ると、ドラマという同じジャンルの中でも、番組によってUU数と平均投稿回数の関係性に傾向の違いがあることが分かります。例えば、大河ドラマ『べらぼう』、日曜劇場『御上先生』は多くの人が投稿した番組。一方、アイドル系の俳優が出演する『御曹司に恋はムズすぎる』『日本一の最低男』『アンサンブル』は一人で何度も投稿する傾向があり、深い思い入れを持ったファンに支えられている番組だといえるでしょう。
UU数と平均投稿回数は、番組比較だけでなく、同じ番組について時系列で見ていくこともできます。2024年10月~12月に放送された『全領域異常解決室』を例に解説します。
一般的なドラマの傾向としては、初回と最終回のポスト数が高く、中盤は落ち着いていることが多いです。しかしこのドラマのポスト数は、第1話から第4話までは落ち着いていましたが、第5話の最後に放映した次回予告がX上でバズり、その後、第6話から初回のポスト数を超えて第10話まで右肩上がりに上昇。同クールのドラマと比較しても、突出した伸び率を記録しました。
さらに「UU数」と「平均投稿回数」の関係を見ると、より明確に「第5話で潮目が変わった」ことが分かります。第2話から第4話と比べ、第5話以降は「UU数」が増加に転じ、第6話以降で「平均投稿回数」も増加。【図3】のとおり各話の状況を比べてみると、話数が進むごとに右上方向に推移しているのです。理想的なかたちでファン獲得をし続けた好事例だと思います。
連続性と物語性のあるドラマは特に、「潮目」を見極めることが番組制作の上でも重要になりますね。一方、バラエティ番組はまた違った傾向があるように思えます。
白岩 そうですね。Xは、「推し活」の一環で使われることの多いメディアです。特にバラエティ番組など毎回ゲストが変わる番組は、ゲストによってポスト数が大きく変動しますね。例えば、人気アイドルが出演する番組はファンの熱烈な「推し活」によって、平均投稿回数が多くなる傾向が強く見られます。
新機能2:「毎分ポスト数」
1分ごとのポストをランダムで表示する機能も追加
すでに実装済みの「毎分ポスト数」を表示する機能についても教えてください。
白岩 番組放送中のポスト数の集計を、60分ごとから1分ごとにバージョンアップしました。加えて、具体的にどのような内容のポストがあったのか、1分ごとにコメントを10個ランダムで表示する機能も加わりました。
それでは、2024年NHK『紅白歌合戦』を例に、毎分ポスト数の推移を見ていきましょう。
2024年のNHK『紅白歌合戦』の視聴率の推移を毎分で見ると、番組開始から終盤まで緩やかに上昇し、急激な変動はありませんでした。一方、青い線で示した「毎分ポスト数」は、かなりビビットに上下しているのが分かります。
番組中にポスト数のピークを迎えたのは、特別企画で初出場したB'zの出演シーンでした。録画での出演と見せかけてNHKホールに登場し圧巻のパフォーマンスを披露したそのシーンが、「他のシーンと比較して、具体的にどのくらい盛り上がっていたのか」が一目でわかります。このように、1分ごとのポスト数を細かく見ることで盛り上がったシーンを特定し、シーンごとのポスト数も割り出せるようになりました。
また「Buzzビューーン!」では、世間で話題になったシーン以外にも、アイドルグループJO1やNumber_iなどの出演シーンや、その他のコラボ企画などでも盛り上がりがみえ、視聴者のビビッドな反応を把握することができます。
「ポストのAIサマリー」や「ポスト数ランキング」などオプションで個別レポーティングも可能
ツール上で自由に見ることのできるデータのほか、オプションでより詳細な分析をすることも可能とのことですね。具体的な活用事例を教えてください。
白岩 例えば、ポストをAIで要約し、ご要望のテーマでサマリーを作成することができます。ツール上でもポストを1分単位で確認できますが、番組全体でどのようなことが話題になっているのかを分析するには、膨大なポストを1件1件見ていく必要があります。AIサマリーを活用することで、この手間が不要になるので、番組の振り返りの効率が格段に上がります。
また、期間、ジャンル、ターゲットなどの条件を自由に設定し、ポスト数をランキング化することも可能です。例えば、年間ランキング、クールでのランキングなど。どのような企画やキャスティングが話題になったのかを明確にすることができます。
タイム提供提案時の検討材料や、番組PRの施策づくりに活用!動画配信コンテンツとの関係性も紐解きたい
番組制作や広告、PRの現場で、さまざまな活用の仕方が考えられそうですね。最近の「Buzzビューーン!」の活用事例を教えてください。
茅野 広告会社では主に、タイム提供ご提案の検討材料として活用されています。ポスト数ランキングなどの分析結果をもとに、「バズりやすい枠」や「相性の良いターゲット」を確認する目的で導入している例も増加しています。
例えば、それぞれの枠のポストのボリューム、ポジティブ・ネガティブの比率などを比較。「この枠だと安定的にX上での拡散が見込めそうだ」「この番組は、狙ったターゲット層に響いていそうだ」といったことを、根拠を示しながら説明することができるようになります。
そのほか、放送局では毎分ポスト数のピークとなったシーンを切り抜き動画にしてPRに活用したり、もう一押しすればバズる可能性を秘めている企画を検討したりなどもできます。他局の番組との比較分析もできるので、テレビ番組全体を俯瞰しながら、それぞれの番組の特性を活かした施策づくりに役立てることができます。
白岩 今後「UU数」「平均投稿回数」が搭載されるので、イベントの開催やグッズ販売など、放送外の施策の判断材料としても活用していただけるかもしれません。
最後に、「Buzzビューーン!」の今後の展望を教えてください。
茅野 さらに多様な分析ができるように検討を進めています。例えば、1週間ごとのポスト数を比較することがユーザーにとって必要かどうかであったり、動画配信コンテンツとの関係性の紐解きなど、地上波・配信を含めて、「番組コンテンツ」という大きな枠の中で視聴質を分析できるようにすることにも、大きな意義があると感じています。
多様な動画サービスが生まれ、SNSでだれもが自由に意見を発信できるようになった昨今。今後、視聴者の声をしっかりと反映した番組づくりは、より一層求められるはずです。視聴質を多面的に可視化し、番組評価の解像度を上げるツールとして、「Buzzビューーン!」は今後も進化を続けていきます。
データソース : 「Buzzビューーン!」(Xでのポストをビデオリサーチにて解析)
【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「Buzzビューーン!」
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