CM認知率の上限値は何パーセントか?~2022年「クリエイティブカルテスペシャルレポート」より~
【この記事はこんな方にオススメ!】
✅テレビCMや動画広告のクリエイティブ制作業務に携わっている方
✅テレビCMや動画広告の出稿量と認知率の関係性が知りたい方
✅テレビCM効果の現状を把握したい方
1. 広告効果として求められる重要指標「認知」
新商品告知や休眠顧客の掘り起こしなど、企業がキャンペーンを行う際にその実施目的としてKPI設定される重要指標の1つに「認知」があげられます。
「認知率●%を獲得するにはどのくらいCMを投下すればよいのか」
「若年層のCM認知は一般的にはどのくらいなのか」
「認知を効率的に獲得するにはキャンペーン期間や投下ボリュームをどのように設定すればよいのか」
「リーチMAXでキャンペーンを組みたい場合、テレビCMにより獲得可能な認知率の上限はどれくらいか」
・・・テレビCMの出稿担当者が悩みがちなCM認知に関する様々な疑問の中から今回は、
「テレビCMのGRP投下量とCM認知率の関係性」について深掘りします。
2. テレビCMのGRP投下量とCM認知率の関係グラフ
図1は、2019年~2022年に実施した約2,500素材のテレビCMの調査結果から算出した、テレビCMのGRP投下量とCM認知率の関係グラフです。このような同一の手法の調査を繰り返し行い、その結果を積み重ねることによって抽出された基準値を「ノーム値(Norm値・ノルム値)」などと呼びます。
ノーム値は、個別のCM評価をチェックする際に「ものさし」の役割を果たしますが、「関数式によるノーム値」と「平均値によるノーム値」の大きく2つのタイプがあります。上記で採用しているのは前者:「関数式によるノーム値」です。
以下の2STEPから関係式を算出した結果を掲載しています。
STEP1:ターゲットごとに全業種について、最小二乗法により関係式の係数aと係数bを算出
STEP2:全業種のモデルの係数aと係数bを事前分布の平均値とし、ベイズ推定(※1)でカテゴリーごとに関係式の係数aと係数bを算出
図1では、テレビCMのGRP投下量が増えるにつれて、男性に比べ女性で少しずつCM認知率が高まっている様子が窺えます。
図2で男女でのCM認知率の差を比較すると、例えば個人GRPが2,000のとき、CM認知率のノーム値は男性45%に対し、女性だと49%となります。
3. 何GRP投下すれば「認知率100%」になるのか?
世の中にはテレビ受像機を持っていない人、テレビ受像機があっても家でテレビは見ない人、テレビの視聴環境は様々です。そのため「大量にテレビCMを投下すれば世の中全員にCMを認知させることができる」は当然、間違いです。
その前提の上で、上記関係式から「理論上は何GRP投下すればCM認知率が100%となるのか」をシミュレーションしてみたのが図3です。
認知率の上限があがるほど、「まだ(当該)CMを認知していない人」にCMを当てに行くのは困難になるため投下量を増やしても新たな認知が獲得しづらくなります。
理論上は、2022年現在、関東地区においては認知率90%以上となるCM投下量は約30,000GRP、95%以上となるCM投下量は約37,500GRP、そして認知率100%を達成するには約46,500GRPが必要となっています。 *個人全体・本数ベースGRP
上記はあくまで関係式から算出した理論値であり、実現はしませんが実際に出稿する際は、放映する曜日・時間帯・局・タイミングなどのいわゆる「打ち方」、そしてCMクリエイティブの内容により大きく変わってきますが1つの参考としてご覧いただけたらと思います。
4. 若年層の方がCM認知しやすい傾向にある、但し・・・
最後に、筆者がテレビCMのGRP投下量とCM認知率の関係を見ていく中で興味深い違いが見られたグラフを紹介します。(図4)
女性15~19才と女性50~69才を比べると、前者のほうが所謂「認知効率」が良いことが分かります。1,000GRP投下の場合は女性15~19才のほうが+7pt、2,000GRP投下の場合は+9pt、3,000GRP投下の場合は+10pt、CM認知率が高くなります。
テレビCMのバイイングに携わる方であればピンとくると思いますが、若年層になるほどリーチ(≒GRP)を投下する難易度が上がります。つまり、図4のグラフで言えば、グラフの上側に寄せやすい代わりに、グラフの右側に寄せていくことが難しくなるということです。こちらもあくまで参考として、性年代を区切ったCM認知率をシミュレートした場合このようになるとご理解ください。
5.テレビCMが認知された「その後」に必要なこと
テレビCMは商品やサービスを認知させたり、それらの購入や利用を促進するために制作・出稿するものです。「CMを認知させる」ことは最終GOALではなく、まずはCMそのものを気に留めてもらい、そこから先はクリエイティブの力で商品やサービスを認知させ、興味関心を持たせ、購入利用意向を促進し、そして最終的には実際の購入・利用に結び付けるということが求められます。(図5)
本記事では、CM投下⇔CM認知の関係性について述べました。グラフの抜粋元である「クリエイティブカルテ スペシャルレポート2022」では、CM認知⇔商品・サービス認知以降の関係性についても性別・年代・業種(化粧品のCMなのか、自動車のCMなのか、シャンプーのCMなのか‥等)に分けてまとめています。
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【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「クリエイティブカルテ」「クリエイティブカルテ スペシャルレポート2022」
・調査対象データ:2017年以降に実施されたテレビCMクリエイティブ約2,500素材
・対象地区:関東
・ターゲット:男女15~69才
※1ベイズ推定:過去に得られたデータと新たに得られたデータを元に不確実な事象を予測する手法
【本記事で紹介したモデル】
・モデル名:残存GRPを用いたCM認知率予測モデル(忘却モデル)
・業種:自動車
・ターゲット:個人全体(15~69歳)
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