「リターゲティングの仕組み」今さら聞けない!基本の『キ』

  • 公開日:
広告・マーケティング
#デジタル #メディアプランニング #今さら聞けない!基本の『キ』 #用語解説
「リターゲティングの仕組み」今さら聞けない!基本の『キ』

title.png

日々急速な進化を遂げるデジタルマーケティング業界。
皆さんも、毎日のように各社から発信されるニュースで最新情報をキャッチアップしたり、実務上デジタルマーケティングに関わることも多いかと思います。
このコーナーでは、皆さんがニュースや業務で触れるデジタルマーケティングに関する多くのサービスで頻繁に目にする・・・けれども、"基本"であるがゆえ、詳しく説明されることが少ない「単語」や「仕組み」について、初心者にもわかりやすく説明していきます。

冒頭「こんな方にオススメ」.png

そもそも、リターゲティングとは

「リターゲティング」とは、インターネット広告におけるターゲティング手法の1つで、「1回以上、自社のサイトを訪れたことがある人に自社の広告を配信する」ことを意味します。 通販サイトなどで自分が見ていた商品に関する情報を載せた広告が後日、別のサイト上で表示される・・・皆さんもこんな経験はないでしょうか。これはその広告が「リターゲティング」によって配信されていることによるものです。

例えば、下図のりさ子さんのように、リターゲティングで広告配信することにより、一度購入を検討した人がもう一度その商品を思い出し、購入に結び付けられることができるかもしれません。ネクタイにまったく興味がない人より、購入を検討したことがある人の方が当然実際の購入に結び付きやすいため、リターゲティングはインターネット広告業界において「成果が出やすいターゲティング手法」として広く利用されています。

kihonnoki-ri-1.png

なお、主要な広告配信事業者の1つであるGoogle社は「リマーケティング」と呼んでいますが意味は同じです。また、会話の中などでは「リタゲ」と略して呼ばれることが多いです。

kihonnoki-ri-checkpoint-1.png

kihonnoki-ri-checkpoint-2.png

リターゲティングを行うには

リターゲティングの考え方自体は「一度サイトに来た人に広告を配信する」というシンプルなものです。 ですが、例えば、ビデオリサーチが運営しているホームページに来てくれた人に広告を配信したいと思った場合、ビデオリサーチは広告配信事業を行っていませんので、Googleの「Google広告(旧Google Adwords)」やヤフー社の「Yahoo!プロモーション広告」などの広告配信事業者のシステムを使って広告を配信するか、広告代理店経由で広告配信事業者のシステムを使って広告を配信する必要があります。

ビデオリサーチに限らず、自社でサイト運営をしている多くの企業は同様に広告配信は「直接的もしくは間接的に広告配信事業者にお願いする」という方法をとっています。 では、広告配信事業者は「ビデオリサーチのホームページに来たことがある人」を広いインターネットの世界からどうやって見つけ出し、広告を配信するのでしょうか。ここからは、リターゲティングを行う仕組みについて説明していきます。

【STEP①】自社サイトに広告配信事業者が発行するリタゲ用のタグを設置する

リターゲティングを実施するための最も大事なポイントは「広告配信事業者が『このヒトはサイトに来たことがある』と判別できるようにすること」です。 その判別を可能にするために、各広告配信事業者が提供するリターゲティング用のタグを設置します。(企業によっては、専用のタグを用意し「リタゲタグ」などと呼ぶことも多いです)

タグは、ブラウザに対する"命令文"のようなもので、リタゲタグにおける命令内容は、「広告配信事業者は、このヒトにCookieIDを発行しなさい」という内容となります(STEP②で後述)。

【そもそも「タグ」や「CookieID」って何?という方はまずはこちらをご覧ください】

リタゲタグを設置するのは、対象としたいウェブページすべてです。たとえば、ビデオリサーチが「自社ホームページの『視聴率に関するページ』を見たヒトに"広告配信事業者A"(以下「A社」)でリターゲティング広告を出す」とした場合、視聴率に関する該当のページすべてに広告配信事業者であるA社が提供するリターゲティング用のタグを設置する必要があります。

kihonnoki-ri-2.png

※当社では実際にはリタゲタグの設置は行っていません。

kihonnoki-ri-checkpoint-3.png

【STEP②】タグを設置したページに来たヒトの情報を蓄積し、「配信リスト」を作る

STEP①では、例としてビデオリサーチの視聴率に関するウェブページ3か所にA社のリタゲタグを設置しました。 すると、設置後、当該ページを訪れたヒトがいた場合、リタゲタグが発火し、A社(のサーバー)からCookieIDが発行されます。 このIDによって、A社は「あ、このヒトに後でビデオリサーチの広告を流せばいいのね」と判別することができるようになります。 A社側では、後で広告配信をしやすくするため、ここで得たCookieIDを「ビデオリサーチのリタゲ広告用の配信リスト」としてまとめて管理します。

具体的な流れに起こすと、以下の通りです。

kihonnoki-ri-3-2.png

【画像をクリックで拡大】

「リタゲって、"今までに"サイトに訪問したことがあれば配信対象になるんでしょう?」と誤解されている方がときどきいますが、このように、リターゲティング広告の配信対象となるヒトの情報は、リタゲタグの設置"後"に少しずつリスト化していく必要があります。

このリストを作成するためには、少なくとも1カ月程度は「リストの量がある程度溜まるのを待つ」のが一般的です。 そして、待った結果、リストとして得られたCookieIDの数があまりにも少ない場合は、広告の配信自体が難しくなる可能性があります。 そのため、リターゲティング広告での広告配信を望む場合は、予め「今後も一定以上の訪問が想定されるウェブページ」にリタゲタグを設置しておくことが望ましいです。

※具体的な蓄積期間や最低必要数は各広告配信事業者によって異なりますので各社にご確認ください。

kihonnoki-ri-checkpoint-4.png

【STEP③】STEP②の配信リストをもとに、広告配信事業者が実際に広告を配信する

STEP②で一定以上の配信リストがたまったら、はれて広告の配信が可能となります。
前述の例で言うと、A社が広告の掲載面として用意しているウェブページに配信リスト内にいるCookieIDに該当するヒトが訪れたとき、ビデオリサーチのリタゲ用に用意した広告が表示されます。

リターゲティング"条件"も進化している

ここまで、リターゲティングとは「1回以上、自社のサイトを訪れたことがある人に自社の広告を配信する」ことであると説明してきましたが、「自社のサイトを訪れたことがある人」の具体的な定義はかなり細かなレベルまで設定できるようになりつつあります。 たとえば、通販サイトで言うと、サイトを訪れてから商品を購入するまでには以下のようなステップが考えられます。

①サイトのトップページにアクセスする
 ↓
②商品ページをみて、どれを買おうか検討する
 ↓
③気に入った商品をカート(お買い物カゴ)に入れる
 ↓
④購入手続きをする

広告配信事業者によっては、①~④それぞれのステップごとにリターゲティングの対象を区切って制御することが可能です。 それぞれのステップごとに区切って広告配信が制御できると、例えば

■②に当てはまる人・・・もう一度その商品を思い出してもらうために、「その人が見ていた商品そのもの」の画像を入れた広告を配信する

■④に当てはまる人・・・すでに商品を買ったことがある人なので、「会員限定特典」など、リピート購入を促すメッセージを入れた広告を配信する

など、その人のコンディションに応じた広告を出し分けることができ、より効果的な広告配信が実現できるようになります。

このように、ひとくちに「リターゲティング」といっても設定の仕方は様ざまですので、広告の配信目的にあわせて「自社のサイトを訪れたことがある人」の定義を考慮することが望ましいです。

kihonnoki-ri-checkpoint-5.png

kihonnoki-ri-matome.png

いかがでしたか。
リターゲティングに限らず、インターネット広告におけるターゲティング手法は、日々新しいサービスが新しくリリースされる進化が目覚ましい領域です。それぞれの手法の違いをしっかり理解して、普段の業務に活かしていきましょう。

【基本の「キ」シリーズ、以下もおすすめ!】

パーソナライズとは
広告のターゲティング手法 主要パターン4つ

サービス一覧

関連記事