マイクロソフト広告開始で再び注目されるPCユーザー動向〜GAFAMの「M」も目を付けたPC市場〜

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マイクロソフト広告開始で再び注目されるPCユーザー動向〜GAFAMの「M」も目を付けたPC市場〜

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅マイクロソフト広告が日本のPC広告市場をどう変えるか興味がある方
✅デジタル広告業界のトレンドを押さえたい方

マイクロソフト、「Microsoft Advertising」開始

22年5月31日、マイクロソフトコーポレーションが日本における「Microsoft Advertising(マイクロソフト広告)」ビジネスを開始しました。
同社の発表によると、個人的な用途、特に仕事中でのPC利用は世界的に増加しているとのこと(※1)。
そこで本記事では、当社が保有する大規模生活者データベース「ACR/ex」から"PCユーザー"の利用動向や使用ブラウザ、利用サービスについて見ていきたいと思います。

記事の中でご紹介しているサービス「ACR/ex」
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コロナきっかけでPCユーザーは増え、特に10代で顕著

スマホ全盛の時代において、PCをテーマに語られる機会は多くありませんが、実はコロナ禍を経たことでPC市場は大きな変化を遂げています。

通勤や通学が難しくなり自宅でのテレビ会議やリモート授業が増えたこと、そして"おうち時間"の増加により新しく「家でできる何か」を始めようとした結果ニーズが増えたことなどから、PCでのネット利用率は、特に10代において飛躍的な上昇を見せています。(図1)

【図1:PCインターネットの週1以上利用率】
PCインターネットの週1以上利用率

特に10代男性の伸び率はすさまじく、19年〜21年の2年間で利用率は約2倍となっています。逆に10代女性の利用率は19年→20年では10pt以上UPしたものの、20年→21年では高止まりしています。コロナによりPCニーズを感じた人が実際にPC利用を始めるまでのスピード感が早く、早々にニーズが一巡したのかもしれません。

また、60代でも興味深い結果が出ています。
すでに仕事でPCの利用に慣れていたと思われる60代男性はコロナ禍を経てもほぼ変化がなかったのに対し、女性は特に20年→21年で10pt近く利用率が上昇しています。10代とは異なり、PCニーズを感じてから実際に利用に至るまでには時間がかかったという考え方もできますね。

PCユーザーの利用ブラウザ〜増えるChromeとEdge、ぎりぎりまで粘るIE

マイクロソフトといえば、22年6月に長年親しまれてきたInternet Explorerのサポートを終了させ、Microsoft Edgeに一本化させたというニュースも直近の大きな話題となりました。
そこで続いてはブラウザの利用率についてみていきたいと思います。
図2では、12-69歳男女における利用PCブラウザ(複数回答)を並べたものです。

【図2:利用PCブラウザ】

利用PCブラウザ

まず驚くのは、22年6月でのサポート終了が1年以上前から(※2)告知されていたInternet Explorer(IE)の利用率の高さではないでしょうか。サポート終了日となった22年6月16日には日本でも大きなニュースとなり、そこでやっとサポート終了を知ったという声も多く聞かれました。ブラウザの利用に関しては特にこだわりを持たず、もともと自分のパソコンに入っていたブラウザをそのまま利用するケースも多いようです。

そして経年での変化を見ると、そのIEから移行していったであろうユーザーは、移行が推奨されているMicrosoft Edgeだけでなく、Google ChromeやSafariにも一定の分散があったと思われます。
Edgeは19年→21年の2年で15pt以上、Chromeは10pt以上の利用率増加となりました。

では、それぞれのブラウザを利用する一般生活者=マーケティング上の広告ターゲットには何らかの違いがあるのでしょうか。通常、広告を出稿する際にブラウザごとに広告内容を分けることは一般的ではありませんが、ブラウザ特性の背景を知ることで何か得られるヒントはないかと思い、のぞいてみました。

ポータルサイト利用のEdgeユーザー、SNS利用のChromeユーザー

ここからは、性別や年齢の違いによる差分を排除するため、マイクロソフト広告でも主要ターゲットに据えているであろう「20〜40代男性」に絞った分析データでご紹介します。
図3は、ブラウザの中でも特に利用者が多いMicrosoft Edgeユーザー(以下、Edgeユーザー)とGoogle Chromeユーザー(以下、Chromeユーザー)の2ユーザーによる「PCで閲覧している情報」の違いを比較したものです。

【図3:EdgeユーザーがChromeユーザーよりも閲覧量の多い/少ない情報TOP5】

EdgeユーザーがChromeユーザーよりも閲覧量の多い/少ない情報TOP5

EdgeユーザーはChromeユーザーに比べ、ニュースや芸能・スポーツ情報、天気や鉄道の運行情報など、 "生活に関する情報"の閲覧量が総合的に多いようです。
そして、このTOP5ラインナップを見るとどれもポータルサイト「Yahoo!JAPAN」の主要コンテンツであるということにお気づきの方も多いのではないでしょうか。
実際、「Yahoo!JAPAN」の1週間以内利用率を比較してみると、Chromeユーザー(58.8%)に対し、Edgeユーザー(71.9%)が13ptも高い結果となりました。Microsoft Edgeでは、デフォルトでのスタートページが「Yahoo!JAPAN」に設定されている場合があることや、ポータルサイトとしての「Google」をスタートページにする人は同じ会社が提供するブラウザであるGoogle Chromeを利用する可能性が高いことがその背景と考えられます。いずれにしても、「Yahoo!JAPAN」はEdgeユーザーのPC利用に一定以上の影響を与えているものと思われます。

他方、EdgeユーザーはChromeユーザーに比べ、SNSやブログなどの情報の閲覧量は少ない傾向でした。これは言い換えると、ChromeユーザーのほうがSNSやブログなどをPCで見る傾向が強いということでもあります。一般的にSNSはスマホで利用されるものですが、PCでの利用となると業務目的での閲覧など、別の背景があるのかもしれません。

【参考】EdgeユーザーのNetflix利用率
22年7月、Netflixは広告付き低価格プランの導入に伴い(※3)、そのパートナーとしてMicrosoftを選定しました。参考までに「ACR/ex」でNetflixの利用率を調べてみると、現状20〜40代男性における利用率はEdgeユーザー、Chromeユーザーとも大差なく約15%程度でした。
今後NetflixとMicrosoftが日本でどのようなビジネスを展開するのか、気になるところです。

【参考:PC利用ブラウザ別Netflix利用率】
PC利用ブラウザ別Netflix利用率

おわりに

コロナ禍を通じ、PCというデバイスの使い方が変化しているということは、スマホが重視される昨今のデジタルマーケティング領域においては「意外な盲点」だった、とお感じの方もいらっしゃるかもしれません。 確かに振り返ってみると、筆者自身もコロナ禍により、1日のPC利用時間が業務・プライベートを合わせて10時間を超えることも多々あり、スマホの利用時間量を大きく超えていました。

今後も大規模生活者データベース「ACR/ex」を通じ、一般生活者のPC利用実態について調べていきたいと思います。また、特定のPC利用状況についてお知りになりたい方はお気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

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※1:マイクロソフトコーポレーション −Microsoft Advertising 日本での展開について
※2:Windows Blogs −Internet Explorer は Microsoft Edge へ - Windows 10 の Internet Explorer 11 デスクトップアプリは 2022 年 6 月 15 日にサポート終了
※3:CNET Japan −Netflix、広告技術パートナーにマイクロソフトを選定

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex
・調査時期:2019年〜2021年の10~12月回(秋調査回)
・対象地区:関東

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