伸長するWeb系サービスのTVCMキャンペーンに対する、 効果的なプランニング・精緻な効果測定とはーTV×インターネットデータ「es XMP」の活用事例〔1〕
シングルソースで取得したテレビ視聴、ネット利用の履歴をもとに、広告コミュニケーション活動のPDCAを支援する「es XMP(es クロスメディアパネル)」。 マーケットを正しく捉え、人起点のプラニングを可能にする「es XMP」の特長や魅力を、広告プランニング、広告効果測定、番組(コンテンツ)分析の事例を通して紹介するシリーズです。 一回目は、Web系サービスに注目して、効果的なTVCM出稿を実現するためのデータ活用の事例です。
・東京2020五輪への評価を振り返るーTV×インターネットデータ「es XMP」の活用事例〔2〕
・キャンペーンの長期効果をとらえる:ブランド想起に着目したキャンペーン効果測定とプランニングとは ーTV×インターネットデータ「es XMP」の活用事例〔3〕
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コロナ禍を経験したこの2年、対面での接触が難しくなり、結果として様々なシーンでデジタル化が進んだと言われています。皆さんの生活にも様々な変化が生じたのではないでしょうか。そういった変化が起きている中で、最近出稿されているTVCMに目を向けてみると、フードデリバリー、アプリゲーム、マンガ、ネット動画、ネット店舗開設など、やはりWeb系サービスのCMを目にする機会が多くなっています。
(図1)は「通信・web系サービス」を提供する広告主の直近5年間のTVCM出稿秒数の推移ですが、コロナ前から上昇傾向ではあるものの、ここ2年で更に出稿秒数が増加しています。
また、主要なWeb系サービス企業のTVCM出稿秒数を5年前と比較したものが(図2)ですが、軒並みプラスとなっており、データからもこういった企業の広告出稿が増加していることが確認できます。好調なWeb系サービス企業がTVCMの出稿を拡大している点が分かりますし、スタートアップ系企業はTVCMの高いリーチを活かして一気にサービスの認知拡大を狙うという戦略をとっていると耳にしますので、それを裏付ける結果にもなっているのではないでしょうか。
今回はこういったWeb系サービス向けに、効果的なTVCM出稿を実現するためのデータ活用の事例としてAmazonショッピングアプリを取り上げ、以下の3つの視点で紹介します。
① 利用率やプロフィールを競合比較→市場・顧客理解に活用
プランニングを行う前に、利用状況や利用者プロフィールを競合と比較して、市場・顧客理解にes XMPを活用する事例を紹介します。
(図4)は競合ショッピングアプリも含めた利用状況比較です。重複利用者も多いですが、やはりそれぞれのアプリだけ利用しているユーザーも一定数いることが確認できます。楽天ショッピングアプリと比較した利用者プロフィール(図5)からは、両ユーザーとも「情報感度が高く」「口コミ情報に敏感」な層という共通点がありながら、Amazonは幅広い年代、楽天は女性20-49才の利用者が多めとなっており、デモグラ属性に違いがあることが分かります。
このようにes XMPでは、自社データだけでなく、競合も含めて俯瞰的に市場を分析できる点が特徴になっており、市場・顧客理解を深めたうえでプランニングに入ることができます。
②ターゲットのTV視聴を可視化→効果的なプランニングを実現
次にプランニングに入っていきます。効果的な出稿を実現するためには、キャンペーンの目的にあったターゲットの視聴番組・時間帯を選定し、効率的に出稿をしていく必要があります。今回はes XMPの各種データを使い、(図6)のように「A.自社サービスユーザー層」と「B.非ユーザーの中で利用ポテンシャルの高い層」を抽出しターゲットを作成しました。現ユーザーの利用促進をはかるのか、新規ユーザーを獲得したいのか、キャンペーンの訴求内容に合わせて効果的なターゲットを抽出することができます。このターゲットのテレビ視聴状況を可視化したものが(図7)ですが、「色付け」がターゲットの獲得効率の高い曜日・時間帯、「数字」が実際のキャンペーンの出稿本数になっています。「色付け」と「数字」を並べてみることで、プランニングの改善につなげることが可能になります。
このようにes XMPではアプリ利用ログを使って、自社ユーザー/非ユーザーを特定することで精緻なターゲット設定が可能となっており、効果的なプランニングを実現することができます。
③TV視聴ログ×インターネット利用ログ→シングルソースで精緻な効果測定を実現
続いて、プランニングした結果、効果的なキャンペーンになっていたかの確認、効果測定について紹介します。ここでは、2021年3月の新生活キャンペーンを事例に取り上げますが、当然②で挙げたようなプランニングをしているわけではないので、あくまで効果測定のイメージとしてお考えください。
まずは、プランニングしたターゲットにきちんとTVCMが到達したかを確認します。(図8)のようにプランニングに使用したターゲットのGRP・リーチを算出することができますので、個人全体と比較し効果的なプランニングができているかの確認が可能になります。また、TV視聴とインターネット利用を、ログベース・シングルソースで取得しているため、(図9)のようにTVCMに接触したことでアプリの利用に影響があったかを測定することもできます。TVCM出稿前月・当月のアプリ利用率を比較すると、TVCM非接触者では利用が減っている(-3.1pt)のに対して、接触者では利用が増加(+4.1pt)しており、CMの効果があったことが分かります。
【図8】Amazonショッピングアプリ 2021年3月新生活TVCM到達状況
【図9】2021年3月新生活TVCM接触有無でのAmazonショッピングアプリ利用比較
このようにes XMPでは、TV視聴ログ×インターネット利用ログで精緻にキャンペーンの効果測定を可能にします。
いかがだったでしょうか。Web系サービスのTVCMプランニング・効果測定にご興味がございましたら、是非一度es XMPの活用を検討ください。
TOPIC「es XMP」ミニ分析レポート
「アプリ」利用のエリア差を検証 〜関東・関西それぞれでアプリ利用に差はあるのか〜
es XMPはTV視聴履歴とネットの利用履歴(アプリ利用・Web閲覧)をシングルソースで取得しているサービスです。そのアプリデータを利用し、今回は関東・関西というエリアでのアプリ利用率差に着目し、3つのアプリで検証しました。
ケース1 「ビックカメラ」アプリ
最初に「ビックカメラ」アプリについて確認します。(図1)の利用率をみると、関西よりも関東の利用率が3.2p高い結果となっています。ここでビックカメラの実際の店舗数をみると、関東1都6県は40店舗以上に対し、関西2府4県は7店舗でした。実店舗の多い関東地区の方が、アプリも多く利用されている様子がうかがえます。
<図1>「ビックカメラ」アプリ利用率・店舗数
ケース2 「餃子の王将」アプリ
続いて、「餃子の王将」アプリです。(図2)を見ると、利用率は関西のほうが3倍ほど高くなっています。こちらも店舗数を確認すると、関西345店舗、関東176店舗と関西は約2倍近く店舗数が多いという結果でした。こちらも、実店舗の多い関西地区の方が、アプリも利用されていることがわかります。
<図2>「餃子の王将」アプリ利用率
ケース3 「家電量販店」アプリA
3つ目は、ある家電量販店アプリAの利用率と店舗数です。店舗数に差があるものの、利用率は関東・関西で同程度となっております。このように、エリアそれぞれでの店舗数に関わらず利用されるアプリもあることがわかります。
<図3>アプリA利用率と店舗数
今回は、関東・関西というエリアでのアプリ利用率差に注目して事例を紹介しました。その地域での店舗数の差がアプリ利用に影響を与えるもの、別の要因が影響を与えるもの、とアプリの用途によっても利用率との因果関係は様々です。
es XMPでは、今回ご紹介したエリアや性年齢等の標準的な特性以外にも、リッチで豊富なプロフィールでアプリ利用者がどのような人たちなのかを把握し、より利用してもらうための改善策を検討することが可能です。また、競合を含めたアプリ利用状況データも取得しているので、アプリ利用率UPに向けたお客様分析にご興味ありましたら、ぜひお問い合わせください。
※esXMPはサービスを終了しました。
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<集計概要>
集計期間:2021/6/28(月)〜9/26(日)
ランキング指標:利用率(期間内にアプリを利用した人の割合)
エリア:関東・関西
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