東京2020五輪への評価を振り返るーTV×インターネットデータ「es XMP」の活用事例〔2〕
シングルソースで取得したテレビ視聴、ネット利用の履歴をもとに、広告コミュニケーション活動のPDCAを支援する「es XMP(es クロスメディアパネル)」。 マーケットを正しく捉え、人起点のプラニングを可能にする「es XMP」の特長や魅力を、広告プランニング、広告効果測定、番組(コンテンツ)分析の事例を通して紹介するシリーズです。
2回目は、先に行われた東京五輪コンテンツの分析を紹介します。
・伸長するWeb系サービスのTVCMキャンペーンに対する、 効果的なプランニング・精緻な効果測定とはーTV×インターネットデータ「es XMP」の活用事例〔1〕
・キャンペーンの長期効果をとらえる:ブランド想起に着目したキャンペーン効果測定とプランニングとは ーTV×インターネットデータ「es XMP」の活用事例〔3〕
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2022年2月4日〜20日にかけて、2022年冬季オリンピックが北京にて開催されますが、昨年コロナによる1年の延期を経て、57年ぶり2度目の自国開催となった東京2020オリンピック・パラリンピックはまだ記憶に新しいところです。コロナ禍ということもあり、直前まで開催の危ぶまれていた大会だけに、世の中でも賛否両論、様ざまな意見がありました。7月23日(一部競技実施は7月21日)から無観客の地域もありながら、厳戒態勢で行われた異例のオリンピックとなりましたが、日本選手の活躍は素晴らしく、史上最多となる27個の金メダル獲得だけにとどまらず、メダル総数58個と、こちらも史上最多を記録。連日暗いニュースや自粛が続いていた中で、頑張る日本選手の姿に元気や勇気をもらった人も少なくないのではないでしょうか。
今回は北京2020オリンピック冬季大会開催にあたり、先の東京2020オリンピック(以下同じ)への評価を以下の視点から考察していきます。
① 視聴率で大会全体を振り返る〜どのくらいの人が視聴していたか・どの競技がよく見られていたか〜
まず、どのくらいの人に見られていたのかを視聴率データを基に振り返ると、開催して間もない週末に1億人に到達し、多くの国民が自国開催のオリンピックに注目した姿がうかがわれます(図1)。
競技別では開会式や閉会式に次いで、野球・サッカー・卓球がTOP10にランクインしており、日本選手がメダルを賭けた球技種目が上位にあがっていたことがわかります(図2)。
【図2】東京2020オリンピック関連番組 平均推計視聴数上位10番組
② 視聴形態で振り返る〜TVだけではない見られ方〜
ここからは、es XMP※1のデータを用いた東京2020オリンピックの分析を紹介します。
東京2020オリンピックはTVだけでなく、TVerなどのインターネット配信でも視聴することが可能でした。ここでは、es XMPのアンケート結果を基にTVと配信がどのくらいの割合で見られていたのかを確認します。結果をみると、TVのみ視聴者が6割と多いですが、TV×配信も3割のボリュームとなっており、TVとスマホ・PCの両方のデバイスで視聴していた人が一定数いたことがわかります(図3)。
【図3】東京2020オリンピック視聴形態TV×配信の4象限人数割合
es XMPでは回答者のプロフィールも確認することができますが、TV×配信視聴者は世帯年収が高く、購買の際には、口コミを参考にする人が多い傾向がみられました。このように、デモグラフィック以外にもCMに対する考え方や、情報・購買特性なども、本データは把握ができるため、ターゲットに効率的に届くにはどのようなCMを出稿するのが良いのかなど、CMプランニングの際の参考データとして活用できます(図4)。
【図4】東京2020オリンピック視聴形態TV×配信の4象限人数割合
③ 大会の評価を振り返る〜アンケートから見える賛成派・反対派〜
東京2020オリンピックがどのように見られていたかわかったところで、その評価について振り返ります。コロナ禍で開催された本大会でしたが、開催前後で意識の上でどのような変化があったのでしょうか。こちらもアンケートで確認すると、事前の調査では「開催反対」の意見が約60%に達していたのに対し、オリンピック後は「開催してよかった」というポジティブの意見が約65%を占め、意識に大きな変化が見られました(図5)。
さらに事前・事後の評価を4つにグループ分けして、それぞれの東京オリンピック平均視聴分数をみると、事前は「開催反対派」であり、事後に「開催してよかった」に変化したグループは視聴時間が長く、事前・事後とも、開催にポジティブな意見をもったグループとあまり差がみられませんでした。事前に開催反対だった人たちも、テレビでアスリートたちが活躍する姿に触れて、オリンピックへの印象が好転していったことがうかがえます(図6)。
さらに、この好転派のグループの競技別の視聴分数をみると、もともと事前調査で「見たい」と答えていた競技TOP10には上がってこなかった卓球や、メダル獲得数の多かった柔道などの競技が多くなっています。
また、楽しめた理由として多く挙げられていた「日本のメダル獲得数が多かったこと」が意識を変えさせた一因と考えられます。併せて、時差が無かったこともより多くの人が見るきっかけになっていたのではないでしょうか(図7.8)。
このようにes XMPでは、テレビの視聴状況とアンケートとをつなげて分析することで、行動の裏付けを確認することができます。
④ スポンサー評価を振り返る〜オリンピック視聴量で比較〜
ここからは、インターネット調査による東京オリンピックのスポンサー評価※2を振り返ります。
視聴日数が7日以下の人と8日以上の人で、オリンピックのスポンサー全体に対する評価の割合をそれぞれ比較してみました。結果をみると、オリンピックをより多く視聴していた人の方がスポンサー評価が高くなっていました。視聴が多い人は、スポンサーも含めオリンピック全体に対してポジティブな印象があったということがうかがえます(図9)。
⑤ まとめ
今回はes XMPデータを中心に、東京2020オリンピックを振り返りました。開催に対する反対意見があったもののライブで見る素晴らしさ、それをメディアを通して体感させられました。結果、選手の活躍で多くの人が視聴し、最終的には「開催してよかった」というポジティブな意見で占められた大会ということがわかりました。
この夏のオリンピックの勢いのまま、これから始まる冬のオリンピックで、日本選手が活躍する姿を再び見られることを、多くの人が心待ちにしているのではないでしょうか。
es XMPではテレビ視聴状況とアンケートを紐づけて分析することができ、視聴者の「コンテンツ評価」や「プロフィール」の深堀りを行うことが可能です。 ご興味がございましたら、ぜひ一度ご活用をご検討ください。
※esXMPはサービスを終了しました。
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