新サービス「Buzz ビューーン!」 視聴率×視聴質で 番組コンテンツ評価の解像度UP!
番組がどのくらい見られているかを示す"視聴率"。これに並ぶものとして、Twitter(現X)データを使って番組の"視聴質"を網羅的に表現するサービス「Buzzビューーン!」をリリースしました。この記事では「Buzzビューーン!」がどういった仕組みで視聴質に迫るのか、価値はなにか、当サービスのブランドマネージャーである茅野とサービス担当の今井に注目ポイントや知見を聞きました。
【話し手】
- テレビ・動画事業ユニット テレビ事業グループ
茅野恭平
- テレビ・動画事業ユニット テレビ事業グループ
今井佳菜
1.「Buzzビューーン!」とは
「Buzzビューーン!」とはどんなサービスですか?
今井:番組の質を捉えるということで、私どもが注目したのがTwitterです。Twitterのつぶやきデータ(ツイート)を分析することで、番組に関連した話題の盛り上がり、いわゆる「バズ」の発生するタイミングや、ツイート内容から番組の" 視聴質"を網羅的に捉えることができると考え、開発したサービスです。
例えば、ツイート数が多い(=話題量が多い)番組があったとして、その番組は恒常的に他の番組に比べてツイート数が多いのか?つぶやいているのは出演者のファンが多いのか?番組自体のファンが多いのか?といったことが気になりますよね。その確認だったり、放送回ごとに、共起ワードやバズエッセンスというものでどの部分が話題となり評価されているのかといった事が分かるようになります。
茅野:これまでの視聴率という「量」の測定に加えて、" 見られ方"という「質」の測定をプラスすることで、番組の評価や、番組の個性がより明確になったことを実感できると思います。
2.SNS 時代における視聴者と親和性の高い指標
番組の質を捉えるためにTwitterデータに注目した理由は?
今井:番組の質的な評価として、私どもでは長年、誰が見ているか、誰と見ているのか、どれくらい長く見ているのかといった視聴率データによる分析や、アンケート調査による「コンテンツカルテ」(旧 番組カルテ)というサービスで取り組んできており、質の評価には一日の長があると思っています。それら積年のノウハウをもとに検討してきた結果、時代に即した「質指標」という観点でTwitterデータを利用していくことになったわけです。
茅野:Twitter データを選んだ理由のひとつに、他のSNSに比べて「テレビ番組」や「音楽・芸能」などエンタメ関連の投稿に特徴があり、Twitterはテレビとの相性が良いという点があります。
Twitter利用者自体、テレビ番組視聴者の一部であると考えると、その番組を視聴した人や、視聴したいと思っている人の声・反応であるというのは事実であり、これは価値のあるものと考えました。また、「話題の番組」と世の中で盛り上がっている際に、実際にどの放送回からどう話題量が上がっていったのかなど、話題の過程を" 可視化"する事も可能です。
こういった面から、テレビ番組だけでなく配信オリジナル作品なども含めた番組コンテンツの価値を見ていく指標として最適であると判断して、Twitterデータを用いた「質指標」に取り組んでいます。
どのような仕組みで番組に対するバズを可視化するのでしょうか?
茅野:一覧化、横並びでの比較という観点から、番組の正式名称と略称をキーワードに、毎日5時から29時(翌朝5時まで)にかけて投稿されたツイートを取得することで、それぞれの番組においてどんなツイート内容が、どのようにバズを引き起こしたかを解析します。
具体的な評価軸として、SOB※1、ツイート数のほか、ポジティブ・ネガティブの評価、視聴中につぶやかれていた特徴的なキーワードなど、具体的なバズ要因の把握につながる情報をみていきます。さらにツイートが活発化した時間帯をヒートマップ化して確認したり、代表的なツイートとともにみることによって、バズの構造を確認することができます。
※1 1日におけるTwitter の全ツイート数に占める当該番組関連のツイート数の割合
3.「"視聴質"を毎日みる」を、当たり前に
Twitterでのつぶやきを可視化するなどの既存のツールと比較して、「Buzzビューーン!」が優れている点を教えてください。
今井:「Buzzビューーン!」では、関東エリアのキー局5局ならびにNHK 総合の番組※2に対するツイート解析結果を放送翌日の朝10時には確認できる点です。インターフェースはテレビの番組表に沿った作りなので、自分でキーワードを設定して検索する手間なく複数の局や番組を横並びに確認したり、比較したりするなど、使い勝手のよいビジュアルになっています。さらに視聴率まで組み込んでいるので、視聴率に加えてよりバズ要素の強いものや、ファンの熱量が高いものを簡単に確認することができます。
茅野:まさに、視聴率データと併用することによって、「量」と「質」の両方から多面的な番組評価を捉えることができるといえます。
※2 対象は朝・夜の時間帯の番組のみ
4.見逃し配信サービスにも対応
最近は見逃し配信など、番組の見られ方も多様化していますが、「Buzzビューーン!」ではこれらにも対応していますか?
茅野:放送当日のリアルタイムな動きに限らず、録画などのタイムシフト視聴やTVerなどを通じた見逃し配信に関するツイートもカバーしています。これにより、放送当日以外に起こった話題の盛り上がりも把握することが可能です。また、これからの取り組みにはなりますが、配信オリジナル作品についても別途対応をする事で、同じ指標でテレビで放送された番組と話題量などを比較することができるようになります。例えば、この配信オリジナル作品が話題になっているけど、それはテレビで放送されたドラマに比べてどれくらいの話題量なのかといった事も確認できるというものです。
さらに、年齢や性別など、直接的には取得の難しい属性についてもAIによる推定を行い、「この番組は20代の女性に人気が高い」とか「この番組は旅行好きの人の投稿が多い」といった具体的なファン層を知ることもできるんです。
5.20代の関心が高かった「WBC」、楽しまれ方までみえてくる
「Buzzビューーン!」では、番組についてどのようなことが新たにわかりますか?実際の例があれば教えてください。
今井:今年の春に開催された「WORLD BASEBALL CLASSIC」ですが、かなり盛り上がっていましたよね。実際、視聴率も非常に高く、マスコミもかなりの時間と量でもって取り上げていましたし、今に至っても話題に事欠かないといった印象です。これを「Buzzビューーン!」で分析したところ、視聴率は、相対的に年配男性が高かったのですが、SNS上では20代男女のツイート数や反応が突出、ポジティブなツイートも多く、SNS上でかなりバズっていたことが分かりました。これまで男性に人気というイメージのあった野球ですが、「Buzzビューーン!」で確認することで、若い男女でも大いに関心をもって見られていたことが明らかになりました。面白い結果になっているので、詳細はリリースをご覧いただけたら。
WORLD BASEBALL CLASSIC2023 日本戦全7試合 全国で推計9446.2万人が視聴
6.ツイートならではの評価がみえてきた
「Buzzビューーン!」では放送当日のリアルタイムだけでなく、タイムシフト視聴や見逃し視聴など、放送日以外に発生した盛り上がりも捕捉できるということですが、これによって新たにわかったことはありますか?
茅野:ツイートのされ方を粒さにみていると、多くの番組では放送当日にSNSの盛り上がりがピークを迎えるのが一般的です。が、話題となったドラマの場合は放送後にツイート量がガクッと減るわけではなく緩やかに減少しており、放送日と放送日の間にもファンの熱量が持続することがわかりました。このことから、放送翌日以降もタイムシフト再生や配信による「見逃して後から追い付いた人」や「2回目、3回目と繰り返し視聴した人」の会話が継続して行われている様子がみられるんですよね。自分なりの考察や登場人物の感情への共感などを積極的にツイートしている事により、次の放送回まで会話が飛び交っている状況が継続していることがわかります。これは、学生時代に「昨日のあれ見た?」と次の日に学校で友達と話題にする事と同じ現象が、Twitter上でも起こっていると考えられます。こういった発見も非常に面白く、このような知見をユーザーの皆さまに共有できるといいなと思っています。
7.若者とのコミュニケーションの足掛かりにも
「番組の見られ方、楽しまれ方」も可視化されるのですね。
茅野:繰り返しになりますが、視聴到達人数を含め、「量」の面での番組力を見ることができる視聴率に対して、「Buzzビューーン!」では、視聴者がその番組に対してどう感じているか、どのような印象を持ったか、それが世間的にどう受け止められているかという番組が持つ" 熱量"みたいなものを番組の「質」のひとつとして確認することができます。また、Twitterは若年層との親和性も高いため、コンテンツのリーチ拡大を目的とした若年層へのアプローチや、話題作りへの戦略・対策といった部分でも、「Buzzビューーン!」を活用することで課題解決のお手伝いができると考えています。こういった部分を含め、編成・制作から広告出稿に至るまで、視聴者とのコミュニケーション戦略における足掛かりとしてご利用いただければと思っています。
今井:放送局、広告主、広告会社の皆さまはもちろん、コンテンツ制作に直接関わる制作会社の皆さまにもご活用いただけるサービスとなっていますので、ぜひお問合せください。
※この記事はVRDIGESTで紹介した特集「視聴質」を編集したものです。
他の特集「視聴質」の記事も併せてお読みください。
・より正しく高精度なコンテンツパワーの評価へ〜視聴率との"両輪"でコンテンツを立体的に評価する「視聴質」〜
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