朝に見られやすい動画コンテンツとは?~映像視聴の生活者研究シリーズ~
【この記事はこんな方にオススメ!】
✅ 若者やZ世代のインターネット動画視聴行動に関心がある方
✅ 生活者の朝の行動に関心がある方
1. 増加する朝の動画視聴
朝の動画視聴についてのひと研究所の研究「Z世代の朝の動画視聴が急増-その実態とは?~映像視聴の生活者研究シリーズ~」では、若年層(Z世代)で、朝の時間帯に特にスマートフォンを用いての動画視聴行動が増加している実態をレポートしました。
今回は年齢を限らず、 生活者を広く見渡して、朝にどんな動画コンテンツが視聴されているのか、朝に見られやすい動画コンテンツがあるのか、その実態を深掘りしたいと思います。
2. 朝、どんな動画コンテンツを見ているのか?
ひと研究所では、2023年8月に「動画視聴についての研究調査」を実施しました。この調査の中で、動画サービスごとに時間帯を区切って視聴するコンテンツジャンルについて質問をした結果が図1です。(15-69才のデータ。各動画サービスを各時間帯に利用している人に質問。)
全体を俯瞰してみると、動画サービスごとに見られやすいジャンルの特徴が表れていますが、同時に、朝の時間帯に見られやすいコンテンツの傾向もそれぞれ読み取ることができます。調査した5つの動画サービスカテゴリーごとに、「朝」とそれ以外の時間の結果を比較しながら特徴を見ていきたいと思います。
①YouTube:朝は「ニュース・情報」に特徴あり
(図2)
朝と他の時間帯の平均を比較すると、「お笑い・バラエティ」が朝にはスコアが低く見られにくい一方で、「ニュース・情報」が高くなっています。ひと研究所で行った若年層を対象とした「朝の動画視聴」に関する生活者サーベイでも、前日のスポーツの結果などのまとめ動画を、朝に視聴するという例がありました。朝のYouTube利用では、ニュースや情報ニーズを満たすための利用が多くなる傾向があるようです。
②TVer:朝は「ニュース・情報」も含めて幅広さに特徴
(図3)
朝と他の時間帯の平均を比較すると、幅広いジャンルでスコアが朝の方が高まっています。各々好きなジャンルの番組を、朝の時間を活用して視聴している様子がうかがえます。さらにその中でも「ニュース・情報」が高くなっています。「朝の動画視聴」に関する生活者サーベイでも、朝にTVerを活用してニュース番組を視聴しているという例がありました。朝のTVer利用では、「ニュース・情報」のコンテンツを見たり、自分の好きなコンテンツを見たりと、幅広い視聴行動となっているようです。
③ABEMA:「ニュース・情報」に加えて、「アニメ」にも特徴あり
(図4)
朝と他の時間帯の平均を比較すると、「ニュース・情報」が高くなっていることが特徴です。また、「ドラマ」「お笑い・バラエティ」「スポーツ」などは、朝は他の時間帯より低い一方で、「アニメ」はほぼ変わりません。「朝の動画視聴」に関する生活者サーベイでも、朝の時間帯には習慣的にアニメを視聴しているという例がありました。朝のABEMA利用では、「ニュース・情報」に加えて「アニメ」が積極的に見られているようです。
④有料の動画配信:「ドラマ」「映画」は朝にも視聴される
(図5)
朝と他の時間帯の平均を比較すると、朝の方が幅広くスコアが高まっています。各々好きなジャンルのコンテンツを朝の時間を活用して視聴している様子がうかがえます。さらにその中でも「ドラマ」「映画」は朝でも人気が高いことが分かります。「朝の動画視聴」に関する生活者サーベイでも、朝の身支度をしながら海外ドラマを視聴しているという例がありました。朝の有料動画配信利用では、「ドラマ」「映画」を中心に、幅広い視聴行動になっているようです。
※「有料の動画配信」:Amazon Prime Video、Netflix、Hulu、Disney+、DAZNなど有料の動画配信サービスいずれか
⑤TikTok:朝に「アイドル・推し活」関連コンテンツの視聴に特徴
(図6)
朝と他の時間帯の平均を比較すると、朝の方が幅広くスコアが高まっています。各々好きなジャンルのコンテンツを朝の時間を活用して視聴している様子がうかがえます。さらにその中でも「アイドル・推し活」の高まりが目立つのが非常に特徴的です。「朝の動画視聴」に関する生活者サーベイでも、朝起きたらベッドの上で"好きなアイドル・推しの動画"を見るという例がありました。朝のTikTok利用では、「アイドル・推し活」関連のコンテンツを見る行動が、他の動画サービスとは大きく異なった行動となっています。
3.ニュース・情報へのニーズと、サービスごとの特徴を生かした利用行動
このように、朝に動画を視聴するといっても、動画サービスごとに見られやすいジャンルや、朝だからこそ視聴するジャンルの傾向は異なっていることが分かりました。生活者は、朝の時間を活用して、サービスごとのコンテンツラインナップの特徴に合わせて楽しんでいるようです。その一方で、全体を通じて「ニュース・情報」が朝の時間帯に高くなりやすいことも明確に表れています。テレビ番組と同じく、動画視聴でも朝は情報を求めてニュース・情報関連のコンテンツが見られやすい傾向があると言えそうです。
ひと研究所では、Z世代を中心とする若年層の朝の動画視聴行動について、継続的に分析を進めて知見を発信していく予定でいますので、引き続きご期待ください。
【調査概要】
ひと研究所「動画視聴についての研究調査」
調査方法:インターネット調査
調査対象:日本全国の15~69才(中学生は除く)
調査対象動画サービス・アプリでの月1回以上動画視聴者
サンプル数:1,265名
調査期間:2023年8月4日(金)~8月7日(月)
ひと研究所「朝の動画視聴 生活者サーベイ」
調査方法:モニターからの写真提供・インタビューなど
調査対象:モニタリングサーベイモニター(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県中心)
調査期間:2023年7月
調査実施:株式会社 精クリエイティブ