電通との共同研究 「 MCR / ex 」とシークエンスでみる生活行動とメディア利用の中の「 動画視聴 」(最新分析)

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#MCR/ex #メディア利用動向 #動画配信 #若者
電通との共同研究 「 MCR / ex 」とシークエンスでみる生活行動とメディア利用の中の「 動画視聴 」(最新分析)
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INTER BEE CONNECTEDの企画セッション「マルチスクリーン時代の動画視聴者像」の中で発表したソーシャル・シークエンス分析の概観について、登壇者のひとりである当社ひと研究所の主任研究員 渡辺庸人の新たなコメントを交えてお伝えします。

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【MCR/ex】 【わかものラボ】

人々のメディア行動を類型化して変化を検証する

このセッションのテーマである「どのような生活者がどのようなタイミングでネット動画を視聴しているのか」を把握するのに、今回は電通と共同研究した「ソーシャル・シークエンス分析」(以下SSA)という新しい分析方法が採用されています。これは、時系列に沿って並べた一連のデータ同士を比較し、分析する方法です。

DNAの分析や言語の類似性などの研究に用いられ、1980年代には社会科学の分野にて、ライフステージや職業の変遷などの分析でも用いられるようになりました。渡辺によると、「SSAをメディア接触の調査に応用した例は、おそらく国内では初めて」とのこと。

「従来の分析だと、テレビの視聴時間の長さは、全体のデータを統合して割り出した平均値しかわからなかった。SSAを使えば、テレビを見ているのが日中なのか、夜中なのか、時間帯まで考慮したまま分析ができる。また、メディアフリークの人の場合、テレビに限らず、すべてのメディア接触の時間が多くなり、その中での特徴を見つけることができずにいたが、そこに切り込みができるようになった」と渡辺。

具体的な調査データには、当社の「MCR/ex」が用いられました。これは、生活者の1日の行動の流れを15分刻みに、性年代別はもちろん、意識や嗜好別に捉えることができるデータベースです。「MCR/ex」は、全国7地区、合計1万人を対象に、生活行動・メディア接触を1週間の日記形式で調査しており、そこから15分ごとに捉えた672時点のデータを採取し、行動パターンを探りました。その結果、生活者のメディア行動と、テレビ受像器における動画視聴に関して、新たな知見を得られました。

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メディア接触に大きく関係するのは「在宅率」と「働く時間」

分析したデータをもとに、生活者を9つのクラスターに分けることができました。その際、ポイントとなった点は、"在宅率"と"働く時間帯"です。渡辺は「いままでの私たちのナレッジから、これらの要素がライフスタイルに大きく関係し、メディア接触に影響するため」とその理由を説明します。クラスターは、次のとおりです。

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いつ、どのように視聴しているか、生活行動が鮮明に

この分析によって、いままで平均値で塗りつぶされていた生活者の特性に、様ざまなグラデーションが現れています。たとえば、在宅率の高い層は、テレビをずっと見ている印象がありました。しかし、今回の分析で、在宅でありながらメディアにあまり触れない「在宅・非メディア行動中心パターン」も一定数存在することがわかってきました。このようにクラスターを分けることで、より生活者の実態に迫ることができるようになります。

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さらに、時間軸でデータを追うSSAは、生活者の行動をリアルに浮かび上がらせます。例えば、ネットの動画視聴が多い生活者でも、朝は、ネットは見ずにテレビを視聴する傾向がありました。「この時間帯は、テレビの"ながら視聴"が多いことから、忙しい朝の支度に取り掛かりながら、テレビで情報を取り込んでいることが推察される。

言い換えると、"ネット動画は朝の生活行動に入り込めていない"ということでもある」と渡辺。また、在宅率が低い人は、帰宅後の夜にテレビや動画の視聴が増えます。21時ぐらいまでにテレビ視聴の山が来て、ネット動画の山が来るのはその約1時間後だとわかりました。テレビ放送を見た後、スマホで動画を見る傾向がみてとれます。

「このタイミングで、視聴コンテンツがデバイスごとに変わっている点にも注目すべき」と渡辺は指摘します。食後のくつろぎから就寝に向けての生活シーンの転換にともない、場面に合ったデバイスが選択されていることが考えられます。

デバイスという点にフォーカスすると、「不規則生活パターン」は、ネット動画をPCで視聴している人が多いこともわかりました。このクラスターは、在宅中にはPCを使っていることが多く、そのまま動画を視聴しているためと考えられます。「このような世の中で典型的ではない生活をしている人については平均値データで明確に示しにくく、少数の定性的データ中心で捕捉していた部分であった。それがSSAによって、定量データでも目に見てわかるようになった」と渡辺は評価しています。

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若者にネット動画の視聴が出現するのは「在宅」かつ「スマホ・タブレット」

動画視聴に関連して、そもそも動画に親和性の高い若者がどのように動画を消費しているかについて、SSAを通じてみえてきたものもあります。
総じて言えるのは、現在、高校生、大学生といった若年層では、若ければ若いほど在宅でのネット動画視聴が大きな割合を占める傾向にあることです。

視聴デバイスはスマホが主流。また、外出先での視聴は少量で限定的である点も押さえておきたいポイントです。中でも、顕著なのは男子高校生で、自宅内でのスマホによるネット動画視聴は、平日夜のテレビ視聴に匹敵する量になりつつあると分析します(図表参照)。

さらに、当社の若者研究チーム「わかものラボR」が2017年に実施した独自調査によると、若者の動画視聴シーンの上位3つは、上から「自分の部屋でくつろぎながら」「自宅のリビングでくつろぎながら」「ベッドや布団で、就寝前に」となっています。また、どんな体勢でスマホを使って動画視聴しているかを問うと、「ベッドや床に寝転がりながら」が72.4%と大勢を占めました。

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今回、SSAにより、視聴の時間帯は在宅率の高い「夜」にピークがあることもわかってきました。これらをまとめると、現在の若者は、「夜」「自宅」で「寝転がりながら」「スマホ」で動画を見ていることが多いようです。その一方で、食事中はまだテレビ視聴が強いことがわかりました。いずれにしてもネット動画は"ながら視聴"という形態で消費されていないと言えそうです。

若者のテレビ離れの分岐点は大学生

しかし、「テレビにとって懸念される点は、このネット動画と親和性の高い若者たちの年齢が上がることだ」と渡辺は提言します。 「特に手を打つべきは中学生・高校生。彼らはスマホで好きな動画が見られるので、親がテレビを見ていれば、譲ってしまう傾向にある。中でもスポーツ好きなターゲットは、動画のほうがコアなコンテンツが多いため、さらに動画に流れる傾向にあるようだ」。 ただ、テレビにチャンスがないわけではありません。

「若者のテレビ離れの分岐点は大学生」と渡辺は言います。その時期に一人暮らしを始めることでテレビから離れる層もいれば、逆に在宅率が上がったり、高校時代のような部活の忙しさも無くなったりして、テレビを見るようになる層もいる。高校生までのうちに、「テレビは面白い。見たい」と思ってもらうことが重要だと言えるでしょう。

「手立てのひとつとして、動画サイトでテレビ局由来のコンテンツを流し、高校生や大学生にリーチするのは有効かもしれない。大学生でTVerを見ている人が段々と現れてきているのも事実」と渡辺は語ります。

若者とネット動画視聴行動をまとめると

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ネット動画をテレビで見る「きっかけ」「動機」の違いに注目

今回の分析を通じて渡辺は、テレビ受像器でのネット動画視聴者が少しずつ増えていることにも関心を抱いています。その兆しがあるのは、20代の男子学生が多い「不規則生活パターン」、バリバリ働く中高年の男性が大部分の「外泊徹夜ありパターン」、リタイアしたシニア層も目立つ「在宅・テレビ専念視聴パターン」の3つ。

このなかで、「不規則生活パターン」のクラスターは、常にPCを使う環境にあり、PCでも動画を見ることが多いのが特徴です。そのため、PCモニターのように大きなサイズで動画を見たいので、テレビでネット動画を見ていると推測できます。
意外だったのは、中高年が多い残り2つのクラスターです。しかし、現象としては「不規則生活パターン」と同じですが、生活者の属性が異なるため、「テレビで視聴する動機にも違いがあるのではないか」と、次のような仮説を立てています。

「外泊徹夜ありパターン」は、日中に休む場合が多くなります。その時間帯にテレビをつけると、基本的には専業主婦を対象とした情報番組がほとんどです。そうすると、くつろぎながらテレビを見たくても、見たい番組がない。そこで、テレビでネット動画を見る、という心理が働いている可能性があります。平日昼間のくつろぎたい時間帯に、いちいちレンタル店に行くよりもネット動画を見る方が遙かに手軽です。

「在宅・テレビ専念視聴パターン」は、50代以上のシニア層が中心ですから、もともとスマホやタブレットなどの小さな画面でコンテンツを見る習慣がありません。テレビ受像器との親和性が高いクラスターと言えます。そのなかで、テレビ番組以外のコンテンツのひとつとして、選択するようになっていると考えられます。
以上の仮説を踏まえて、ひと口にネット動画と言っても、ニーズが異なる可能性があるため、「提供するコンテンツも一考すべき」と渡辺は提言します。

SSAで変化や兆しを発見。お客様の課題解決に

「"ネットだから、若者向きのコンテンツを"という発想では、これからはターゲットを逃してしまうかもしれない。まだまだ小さな兆しではあるが、中高年が見るというパターンも押さえておけば、今後のアプローチのヒントになるのでは」と語ります。

これはテレビ番組の編成についても、重視すべき点と言えそうです。近年、働き方改革の影響で、男性の育休や時短勤務が増えていくと予想されます。「そういった意味で、男性会社員の受け皿となるようなコンテンツも、日中でも今後求められる可能性もある。いまは生活パターンが変わる過渡期。SSAでメディア接触を24時間捉えることで、その変化を発見できれば、次のメディアの変化に役立つのでは」と今後の調査への熱意を語りました。

今回は、テレビ受像器での動画視聴をメインに、SSAの結果を紹介しました。9つのクラスターによる生活者の実態の把握も、新たな知見のヒントになると考えています。「SSAによる成果を、様ざまなお客様の課題解決に反映していきたい」と渡辺は今後の意気込みを語っています。

わかものラボとは・・・大学生や若手社会人からなる"フィールドリサーチャー"と協力し、いまの若者が「何を考え」「どのようなことをしているのか」リアルな姿を明らかにする研究を進めています。世の中を若者にとって、もっとワクワクするものにしたい、その想いを胸に、マーケティングに役立つ若者のインサイトを提供します。

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