初!自国開催となったラグビーW杯2019 日本大会〜日本代表戦の見られ方は?

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初!自国開催となったラグビーW杯2019 日本大会〜日本代表戦の見られ方は?

2019年9月20日から11月2日まで、日本で開催されたラグビーW杯。自国開催は初めてだったこともあり、ラグビーに対してこれまでにないほど大きな注目が集まりました。
いざ大会が始まると、日本代表は予選リーグを1位で通過、決勝トーナメント初進出を果たすなど予想を上回る活躍で日本中に大きな感動を与えてくれました。
また、試合結果だけではなく、普段の会話の中で「ONE TEAM」「にわかファン」「笑わない男」といった言葉が聞かれるくらい、日本中に大きなインパクトを与えました。日本代表の代名詞でもある「ONE TEAM」は、2019年の「流行語大賞」に選出されたほどです(12月1日発表:ユーキャン)。
日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビーW杯がテレビでどのように見られたのか、日本代表の試合を中心に確認していきます。

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視聴率は日本代表の活躍とともに右肩上がりで推移

開幕戦となったロシア戦は18.3%(関東地区、以下同じ)、2戦目のアイルランド戦後半では22.5%と、日本代表の試合は大会前半から高視聴率をマーク【図1】。

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また2戦目で強豪・アイルランドに勝利したことは、日本はもちろん世界でも大きな話題となりました。この「大金星」が大きな注目を集め、3戦目のサモア戦の視聴率はそれまでを大きく上回る32.8%を記録。予選最終戦となったスコットランド戦は39.2%、初の決勝トーナメント進出で歴史的な一戦となった南アフリカ戦では41.6%と、日本代表の活躍に合わせて、視聴率は右肩上がりで推移しました。
また、放送時間量や時差を考慮しつつ15年のイングランド大会の視聴率と比較すると、今大会は全試合平均で3倍、日本代表戦平均で2倍以上スコアが高く、自国での開催と日本代表の活躍が高視聴率に大きく寄与したといえるでしょう【図2】。

【ラグビーW杯】前回大会との比較<世帯視聴率>

全体の76.5%もの世帯が、日本代表戦を1試合以上視聴

視聴率だけみても十分高い数字ですが、"一回でも日本代表戦をテレビで見た"という到達率(10分以上見た世帯の割合)の観点でみると、さらにオーディエンスの多さを実感できます【図3】。

【ラグビーW杯】日本代表戦1試合以上視聴した世帯の割合(累積到達率)

まず、開幕戦となったロシア戦は30%強の到達率です。日本代表の活躍が呼び水になり、試合を重ねるごとに新規の視聴も増え、サモア戦では開幕時の倍近い60%超に。そして南アフリカ戦でなんと76.5%もの世帯に到達しました。
関東地区では4世帯中3世帯が日本代表戦を1試合以上見たことになります。また、後半2戦は特に「継続視聴世帯(それ以前の試合も視聴した世帯)」の割合が高く、日本代表の試合が見た人の心を強く惹きつけていたことが分かります。

高視聴率の一因となった「女性ファン」の視聴

「ラグビー」は身体的な接触が激しく、少々「野性的」なイメージが強いかもしれません。しかし、今大会の日本代表戦各試合の視聴者の性年代の構成割合をみると、いずれの試合も女性の構成比が4割以上を占めています【図4】。男性だけではなく女性にもよく視聴され、幅広い層を取り込んだことも高視聴率の一因となったことが分かります。

【ラグビーW杯】日本代表戦視聴者の構成

「アイルランド戦勝利」が"にわかファン"の視聴に火をつけた!?

今大会では、日本代表の活躍に合わせて熱心にラグビーを応援するようになった人たちを指す「にわかファン」という言葉が流行りました。当社サービスの「ADVANCED TARGET」※1で定義している「情報選択セグメント」※2から、「にわかファン」とはどういう人達だったのかを視聴率の推移に着目し、ひも解いてみます。
日本代表の活躍に合わせて視聴率が右肩上がりで推移したことは、初めに述べた通りです。特に予選ラウンド2戦目の「アイルランド戦」から3戦目の「サモア戦」ではスコアの上昇幅が大きく、22.5%から32.8%と1.5倍も視聴率は高まりました。恐らく、ここから"にわかファン"が急増したと考えられます。では、どの様な人が増えたのでしょうか。この「アイルランド戦からサモア戦への視聴率の上昇幅」を6つの情報選択セグメント別で比較すると、「流行に敏感な」人たちである「トレンドフリーク」の上昇幅が特に大きいことが分かります【図5】。

【ラグビーW杯】日本戦の視聴率の上昇幅
「情報選択セグメント」による6タイプ

【画像クリックで拡大】

「トレンドフリーク」は「新しいものや流行に敏感」「発信意欲が強い」といった性質を持ちます。つまり、この時点では"にわかファン" ≒「トレンドフリーク」であったといえます。さらに、次のスコットランド戦では「コミュニティ同調」の上昇幅が大きくなっていました。「コミュニティ同調」は「トレンドフリーク」と同じく、イメージ重視で流行を気にしますが、トレンドフリークより取り入れるのが遅い後追いタイプ。このことから、今回のラグビー"にわかファン"は大きな話題を呼び、アイルランド戦直後のサモア戦から「トレンドフリーク」中心に形成され、スコットランド戦ではフォロワー層である「コミュニティ同調」まで取り込んだ二層構造で拡大したのではないかと考えられます。

※1 視聴率とACR/exとをデータフュージョンすることで、性別・年齢以外の多様なプロフィールでターゲットの視聴率を集計できるサービス。ACR/exの豊富な生活者データにより、視聴率にサイコグラフィック特性などリッチなプロフィールを付け擬似的にひとつのデータを作り出す手法を採用。
※2 生活者の情報感度や収集・発信意欲の強弱などの「情報への関与特性」と、購買などの「行動に至る選択基準」を基にタイプ分類したもの。考え方や行動が自発的か他発的か、選択基準が情緒重視か機能重視かの方向の組み合わせで、生活者を6タイプに分類する。

ラグビー応援ムードを醸成したTBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」

「ノーサイド・ゲーム」は7月7日から大会直前の9月15日までTBSで放送されていたドラマです。
大泉洋演じる大手自動車メーカー・トキワ自動車の中堅サラリーマン・君嶋が、赤字を抱える同社ラグビー部「アストロズ」の再起に奔走するという物語で、最終回には「ラグビーW杯2019日本大会スペシャルサポーター」である「嵐」の櫻井翔が友情出演したことも大きな話題となりました。
放送期間、番組内容ともに、ラグビーW杯と親和性が高そうなドラマ「ノーサイド・ゲーム」を一度でも見た人の日本代表戦視聴率をみると、いずれの試合も「ノーサイド・ゲーム」視聴者の方が、見ていない人(非視聴者)を上回っています【図6】。顕著なのは開幕戦のロシア戦で、同番組視聴者は非視聴者に比べ2倍以上高い視聴率となっています。
以上のことからTBSドラマ「ノーサイド・ゲーム」は、放送の垣根を超えて、日本中がラグビー日本代表を応援する雰囲気の醸成に大きく寄与したといえるのではないでしょうか。

【ラグビーW杯】TBS「ノーサイド・ゲーム」視聴者/非視聴者の日本代表戦視聴率比較<世帯視聴率>

国民的なスポーツイベントであるサッカーW杯に引けを取らない人気

最後に、すでに国民的なスポーツとなったサッカーと比較して、ラグビーの人気をみてみます。
ラグビーW杯(19年日本大会)とサッカーW杯(18年ロシア大会)の日本代表戦の視聴率を比較してみると、前者は平均30.1%、後者は平均37.5%です。今回のラグビーW杯は自国開催で時差なく試合を見られることを考慮しても、サッカーと比べ見劣りしていないといえるでしょう【図7】。ちなみに、ラグビーW杯は2019年視聴率ランキングで南アフリカ戦が1位、スコットランド戦が2位に、サモア戦もベスト10にランキングするほどの人気でした(12/16時点)。

【ラグビーW杯】サッカーW杯との比較<世帯視聴率>

一方で、ACR/exの調査の「好きなスポーツ番組」(2019年4-6月調査データ)では、「サッカー(日本代表戦)」は17.6%に対して「ラグビー」は3.4%と、W杯前の調査では、「サッカー」の高さに及びません。このように「ラグビーをテレビで見る」ということが浸透しているとはいえない状況の中、前述したようにラグビー日本代表の試合が高い視聴率となったことは特筆すべきです。
W杯後の10-12月調査データはまだ出ていないのですが、ラグビーの人気がどれくらい伸びたのか結果が待たれます。
継続的にデータをみていくことでW杯をきっかけにラグビー人気は根付くのか、人気はホンモノなのかを検証することができるでしょう。機会があったらレポートしたいと思います。
今回のラグビーW杯は自国開催ということで時差の影響も受けず、前回大会の視聴率を大きく上回りました。特に、日本代表戦の視聴率はいずれも非常に高く、多くの人を熱中させたことがわかります。また、試合を放送する局だけではなく、局の垣根を越えてラグビーを盛り上げようとする「ONETEAM」の姿勢があったのではないでしょうか。
テレビ離れといわれて久しいですが、日本中がお祭り状態となったのはやはりテレビの力によるものが大きく、改めてその影響力の強さを感じさせられます。
W杯は終了してしまいましたが、ラグビーの国内リーグやスーパーラグビー、五輪7人制ラグビーでも白熱した試合が展開されます!
日本中を熱狂させたラグビーが今後どうなっていくのか、引き続き目が離せません。

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