〜キャリトレ・CM〜ベンチャー企業にとって、テレビCMは 事業を成功へと導く強力なツールだ 株式会社ビズリーチ 中嶋 孝昌さん vol.2

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〜キャリトレ・CM〜ベンチャー企業にとって、テレビCMは 事業を成功へと導く強力なツールだ 株式会社ビズリーチ 中嶋 孝昌さん vol.2

株式会社ビズリーチ 執行役員 キャリトレ事業部 事業部長 中嶋 孝昌氏


前回の記事はこちら(vol.1)

テレビCMの企画について

―テレビCMを制作する上での課題はどんな点だったのですか?

まず、それまでサービス名として使っていた「キャリアトレック」という名称が長くて覚えにくい(笑)。しかも、ロゴマークが英語表記だったので、そのままだと非常に認知されにくいと思っていました。

この状況を打破するべく、名称を「キャリトレ」と短くして、ロゴマークも認知されやすいようにカタカナに変えました。事実、メンバーもお客様も変える前から「キャリトレ」と呼び親しんでくれていましたしね。

―サービスの名称を変えるというのは、裏側の手間を考えると、結構思い切ったことですよね。

そうなんですよね。実際に名称を変えるとなると、WebサイトのHTMLコードを全ページで書き換えることから始まって、名刺や請求書など社内の業務システムも全部刷新しなくちゃいけない。膨大な作業時間とコストがかかってしまいます。

そこで、事前に代表の南に相談したら「名称の変更も思い通りやってくれ。CMの最終的な意思決定も自分がする。責任は全部自分が持つから」と後押ししてくれたのが大変助かりました。こういう大胆な決断をする際に、トップのコミットメントがあるのは心強い後押しになります。

―CMの企画については、どんなコンセプトだったのですか?

それについては、まず企画開始時に、今回CM制作をお手伝いいただいた広告会社の担当者と、当社側は代表を含めた取締役が集まって、長い時間をかけてミーティングをしました。

その際に論点となったのが、2つのコンセプトのどちらを採用すべきなのかという点でした。

第1のコンセプトは、「キャリトレ」をまったく新しいサービスとして打ち出すこと。

第2のコンセプトは、「ビズリーチ」のブランドアセットを活用して、「キャリトレ」を「ビズリーチ」に続くサービスとして打ち出すこと。

第1のコンセプトだと、もしかしたら大成功して「キャリトレ」が「ビズリーチ」を超えるサービスとして認知されるかもしれません。一方で、第2のコンセプトであれば、「ビズリーチ」のCMによって培ったブランド力を活用することができます。

この2つの方向性で、いろいろと議論した結果、既存のブランドアセットを活用する第2のコンセプトでいくことに決めました。



30秒間で「キャリトレ」の魅力をいかに伝えるか

―CMのストーリーやプロットについてはどうでしたか?

今回のCMでは「キャリトレ」を「ビズリーチ」に続くサービスとして位置づけていたので、CMのストーリーやプロットについても「ビズリーチ」で使った手法を活かすことを基本としました。ですから、「ビズリーチ」のCMで使った「採用担当者の内面の声を主人公が代弁することでサービスの特長をアピールする」という流れは早々に決まりましたね。

―「ビズリーチ」のCMで上司の内面の声を代弁する役をされた吉谷彩子さんが今回も登場しています。

そうです。吉谷さんは「ビズリーチ」のCMが話題になった後も、ドラマ『陸王』などに出演されて、ますます好感度も高くなったということもあり、そのまま継続して出演いただきました。ただし、今回は先輩社員役になっていて、『動物戦隊ジュウオウジャー』で注目された女優の立石晴香さん演じる後輩社員に内面の声を読まれる役をされています。

「ビズリーチ」を先輩、「キャリトレ」を後輩に見立てたセカンドストーリーとしての構成が、キャスティングも含めてうまくハマっていると思いますね。

―CMの撮影時には現場に行かれたのですよね。

もちろん、キャリトレ事業の責任者として行きました。撮影現場では、スタッフの方も非常に頑張ってくれて、台詞や表情、ポーズなど表現のディテールにも徹底的にこだわった演出をされていたので感動しました。

今回のCM制作では、現場の撮影スタッフの皆さんだけでなく、テレビ局との枠の交渉などをしてくれた広告会社のスタッフの方も含め、プロジェクトに関わる多くの方々が、当社の狙いや想いを汲み取っていただき、きめ細かな対応をしてくれたと本当に感謝しています。私たちからすれば、テレビCMを作るということは、投資額も大きいのでかなり勇気がいることですし、それだけに私たちの熱い想いが、多くのスタッフにも自然と届いていたのかなと思います。

―CMが完成した後、出稿プランをどのように決めましたか?

CMの出稿時期は、5~7月までと決め、3000GRPのボリュームで考えていました。頻繁にテレビCMをしている企業から見ればたいしたことないかもしれませんが、当社にすればかなり思い切った出稿プランです。

―曜日や時間帯については?

「ビズリーチ」の時の経験やデータがあったので、どの曜日のどの時間帯がよいのかはある程度把握していました。当社の場合、最終的には法人側の問い合わせをコンバージョン・ポイントとして考えているので、どうしても平日の昼間はターゲットになりにくく、基本的には、平日は朝夕、土日は終日の出稿が基本になります。

しかし、細かいところは専門の方でないと分からない。その意味で、今回は広告会社の統合マーケティングプラットフォームが役に立ちました。特に夕方5~6時の時間は効果が薄いと考えていたのですが、そのマーケティングプラットフォームによれば意外と効果があることが分かって、実際にその通りでしたので助かりました。

当社でも、5分刻みのGRPとサイトのトラフィックを照らし合わせて、どこで数字が跳ね上がっているのか、いつの時点でユーザーからの問い合わせがあったかなど、CMの出稿時点データと私たちの方で取得できるデータをぶつけながら、独自の効果分析もしてきています。

ただ正直なところ、どの時間帯や曜日にどういったターゲットがいるのか、続けてテレビCMをした時にオーバーフリクエンシーは大丈夫かなど、当社の過去データだけで、網羅的かつ細かな分析・判断をするのはなかなか難しい…。

―広告会社やテレビ局からもっと情報がほしいということですね。

そうですね。私たちとしても、もっと積極的に情報交換したいし、広告会社やテレビ局さんが持っている細かな情報を知りたい。細やかにフォローアップしてくれるとありがたいですね。



これからのテレビに期待すること

―今回のCMの反響はいかがでしたか?

とても良かったです。CM開始後、現時点で、企業の導入数が48.7%アップ、個人の会員登録数が全体で224%アップ、特に20代の会員登録数が346%アップとなっています。

―それはスゴイ! とても大きな成果ですね。

5月19日(土)から出稿開始だったのですが、やはり反響が気になって結果がでる翌月曜の朝まではかなりやきもきしました。実際には、週明けからかなり動きが活発で、手応えがありました。

―成功のポイントはどこにあったと思いますか?

やっぱり、いろんな人の時間をいただき全員の想いを込めて、細部までこだわって作ったのが結果的によかったのではないかと思います。どこかで少しでも妥協すると、すべてが中途半端になってしまいますから。

―最後にテレビの今後に期待することをお聞かせください。

私たちのようなベンチャー企業にとって、テレビという存在はサービスの知名度を高めるためには欠かせない強力なツールです。ですから、テレビ局さんも私たちのようなベンチャー企業を積極的に支援していただけると嬉しいです。

少し話は逸れるのですが、先日、会社の朝会で代表の南が社員に向けてこんな話をしました。

「皆さんは、アメフトの年間王者を決めるスーパーボールをご存知ですか。全米の約2人に1人が観る世界最大のスポーツイベントのひとつです。そのハーフタイムに流される広告は有名で、これまでもアップルやマイクロソフト、アマゾンなどアメリカを代表する多くのベンチャー企業がこのハーフタイムのCMを足掛かりに全米での知名度を高め、羽ばたいていきました。日本ではスーパーボールのようなビッグイベントはありませんが、先日行われたサッカーW杯はそれに匹敵する大きなイベントだと思います。そして、当社は日本対セネガル戦のハーフタイムに思い切ってスポットでテレビCMを入れました。それを見て、自分たちもこんなビッグイベントに広告を出せるようになった、これは凄く意味のあることだ!と実感しました。4年後のカタールのW杯ではさらに大きな広告展開ができるよう一緒に頑張りましょう!」

このように、当社にとってテレビCMというのは大きな存在で、何ともいえない憧れの存在なんです。テレビの斜陽化なんて言葉は跳ね返して、もっともっと頑張ってほしいと思います。

―最後に熱いエールを、ありがとうございました!

(了)


株式会社ビズリーチ 執行役員 キャリトレ事業部 事業部長 中嶋 孝昌(なかじま たかまさ)

立命館大学を卒業後、広告制作代理店に入社し、営業、制作などを3年間行う。その後フリーライターとして仕事を行い、編集プロダクションを起業。3年ほど経営した後、ITベンチャーにWebディレクターとして転職。取締役として指揮を取り、2011年7月、ビズリーチに入社。マーケティング本部長、ビズリーチ事業本部長を経て、現在は、執行役員としてキャリトレ事業部の統括を担う。

株式会社ビズリーチ

「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」をミッションとし、2009年4月より、人材領域を中心としたインターネットサービスを運営するHRテック・ベンチャー。東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、シンガポールに拠点を持ち、従業員数は1,291名(2018年8⽉現在)。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」や、挑戦する20代の転職サイト「キャリトレ」、AI技術を活用した戦略人事クラウド「HRMOS(ハーモス)」、求人検索エンジン「スタンバイ」、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」などを展開。


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