海外の記事一覧
記事数: 97件
-
小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』第7回物語の始め方
私事だけれど、ぼくには二人の息子がいる。ピクサーやマーベルのような子供たちでも楽しめる種類の映画の試写には連れていくし、自宅でも映画やテレビドラマを一緒に観ている。ただ、8歳の長男と5歳の次男では年齢差があるから、二人の意見が対立することも少なくない。 先日、自宅で「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」を観ていたときのことだ。10分も経過しないうちに、次男が「たいくつー」と言ってジタバタし
-
小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』第6回ピクサーに学ぶストーリー構造
今回はいよいよ核心となる物語の構造に踏みこんでいこうと思う。 そもそも物語の構造って、いったいどういう形をしているのだろう? 建築物なら設計図を見ればいいし、PCならハードウエアのカバーを外せばいい。だが、あいにく物語には形がないので、ネジを外したり、ボンネットを上げたりして、中身を確認することができない。 しかし、作り手が意図を持って組み立てたものであることには違いがない。物語を作りたければ、ま
-
小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』第5回 物語を魅力的にするロケーションの役割
「一番好きな映画は何ですか?」 映画好きの人なら、おそらく一度は聞かれたことがある質問だろう。 僕の場合、かれこれ40年ほど映画ファンを続けているので、同様の質問を嫌というほど浴びてきた。 それなのに、一度として即答できた試しがない。感動を与えてくれた思い出の映画たちに優劣をつけることなんてできないし、年を重ねるにつれて好みが変わってきているから、改めて見直したら評価が変わってしまう可能性がある。
-
小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』 第4回 マーベル作品に学ぶ、敵対者の作り方
物語とは主人公の旅路を描くものだ。 となると、映画を観るという行為は、主人公が運転する車の後部座席に乗りこんで、一緒にドライブ旅行を楽しむようなもの、と言えるかもしれない。 自動車と運転手さえあればどこにでもドライブに行けるように、主人公と目的地さえあればどんな物語でも作ることができる。だが、必ずしも面白いストーリーに仕上がるとは限らない。 想像してみて欲しい。目的地までのルートが、どこまでも平坦
-
小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』 第3回 主人公作りのヒントはトム・クルーズにあり?
前回、物語とは主人公の旅路を描くもの、と定義した。 つまり、主人公が目標に向かっていく過程が、ストーリーとなるわけだ。 では、肝心の主人公はどうやって作ればいいのだろう? 理屈上、主人公は目標さえ持っていればどんな人にも務まる。動物やロボットだって構わない。可能性は無限だ。 ただし、かつてヒッチコックが、「ドラマとは、退屈な部分を排除した人生のことだ」と言ったように、面白いストーリーを作りたければ
-
小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』 第2回 物語とは?
今回からいよいよ物語作りのトレーニングを始めよう。 だが、本題に入る前に、ひとつ質問をさせてほしい。 「物語」とはいったい何だろう? タイトルにもあるように、この連載の目標は誰でも物語を作れるようにすることだ。 でも、肝心の物語とはいったい何なのか、みんなと明確なイメージを共有できていなければ、目標を達成しようがない。 そこで改めて質問。物語って何? 即答できる人はおそらくいないんじゃないかと思う
-
小西未来のストーリーテリングの手法『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』 第1回
当サイトの連載「小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ」で、ハリウッドの最新情報を伝えてくださっている小西未来さんが、今度は映画作りの要となる"ストーリーテリング術"について教えてくださることになりました。 小西さんがハリウッドで何年も何年もかけて独自に学んだノウハウを、映画作りに興味のある全ての若者に向けてレクチャーする、贅沢なコラム! その名も「誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング
-
〜「ROMA/ローマ」の劇場先行公開はキュアロン監督の意向が影響!?〜【小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ】〜劇場公開と配信の間に潜む思惑〜
【 小西未来 のハリウッドのいま、日本のミライ】 第7回 2018年12月14日、Netflixは「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロン監督の新作「ROMA/ローマ」の世界配信をスタートさせた。キュアロン監督の子供時代を反映させた半自伝的なドラマで、1970年代のメキシコシティを舞台に、中流家庭のメイドとして働く女性の日常生活を流麗に描いた傑作だ。第75回ベネチア国際映画祭で最高賞にあたる
-
トロント国際映画祭2018取材【小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ】〜映画の"いま"を追い求め、世界中を巡る取材の旅へ〜
【小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ】 第6回 当サイト「Synapse」の連載「小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ」でもお馴染みの小西さん。ハリウッド外国人記者協会所属の映画ライターとして、数多くの映画やテレビドラマの取材活動に、世界中を飛び回る忙しい毎日を送られています。今回は、そんな小西さんの近況をお聞きしながら、トロント国際映画祭の話題や、これから本格化する賞レース、小西さ
-
【小西 未来のハリウッドのいま、日本のミライ】〜 「マッドメン」のクリエイター・マシューワイナーが新作ドラマを発表 アンソロジー形式を選択した理由とは〜
【 小西未来 のハリウッドのいま、日本のミライ】 第5回 2007年から計7シーズンにわたって全米放送された「マッドメン」といえば、2000年代を代表するドラマのひとつだ。1960年代の広告業界を舞台に、当時の社会情勢や風俗を忠実に再現する一方で、 異なる時代に現代社会を投影させるSF的なアプローチを導入。テーマにしても、アイデンティティの問題を核に、ジェンダーやセクシュアリティ、人種問題など多岐