海外の記事一覧
記事数: 102件
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小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』第10回 可愛い子は奈落の底に突き落とそう!?
何事も始まりがあれば終わりがある。東から昇った太陽はいずれ西の空に沈むし、出会いがあればいつか別れがくる。誕生したものはすべからく死を迎える。 物語も同様だ。魅力的な主人公を登場させ、旅路を描き始めたら、いつかは結末に導かなくてはいけない。それは一緒についてきてくれた読者や観客への義務でもある。終わりのない旅はないのだ。 物語構成における結末(Resolution)を描く部分を、第3幕と呼ぶ。 衝
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小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』第9回 物語の中心部分は、主人公による問題解決の積み重ね
前回、三幕構成における第1幕はSet-Upと呼ばれ、主人公の説明と「異変」を紹介する役割があると説明しました。主人公の日常を描いたあとで、彼/彼女の生活に支障をきたす異変(Inciting Incident)を発生させる。当初は消極的だった主人公も、やがて問題解決に本腰を入れる覚悟を決める。そして、主人公が非日常の世界に飛び込んだとき、いよいよ第2幕のスタートとなる。 物語における三幕構成の比率は
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2019年米アップフロント報告 好調続く アメリカテレビ広告業界 ただし... やはり気になるGAFAの影
アメリカのテレビ業界は、巨人GAFAの台頭、視聴率の低下という環境の中でも広告売り上げを伸ばしています。その要因は何なのか? 2019年のアップフロントで起こっていることを交えながら、アメリカメディア業界のトレンドをビデオリサーチUSA谷口社長がレポートします。 アメリカテレビ広告業界の動きを占うのに、一番手っ取り早い方法はアップフロント(*1)動向を見る事だといえるでしょう。今年はまだ全ての局の
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小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』第8回映画の幕はどこに? 物語の構造を見破るコツ
ハリウッド映画のほとんどは、三幕構成というルールに基づいている。 物語を第1幕(Beginning)、第2幕(Middle)、第3幕(End)と三分割し、それぞれの幕において必要なイベントを起こしていく。物語を効果的に作るうえで不可欠というべきルールで、ハリウッドの映画人はもちろん、一般の映画ファンでも知っている人が少なくない。なにしろ、アメリカの映画批評において「第1幕が長すぎる」とか「第3幕が
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Synapse海外調査部発!激動するインドのテレビ業界 〜インドのアニメ番組を知る3つのポイント! 「2億7千万人の子供」「子供向けから大人」「OTT」〜
2億7,000万人の子供がいるインドには、現在20のアニメチャンネルが存在すると言われています。今後、ネットの普及でさらに加速するとみられるアニメコンテンツの浸透についてSynapse海外調査部では、インド・アニメ時代を予感!さっそく業界関係者に取材を敢行しました。 今回は、Netflixで初のインドアニメとして知られ、アジア・中東・北米に6~11歳の年齢層で人気のアニメ『Mighty Littl
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小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』第7回物語の始め方
私事だけれど、ぼくには二人の息子がいる。ピクサーやマーベルのような子供たちでも楽しめる種類の映画の試写には連れていくし、自宅でも映画やテレビドラマを一緒に観ている。ただ、8歳の長男と5歳の次男では年齢差があるから、二人の意見が対立することも少なくない。 先日、自宅で「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」を観ていたときのことだ。10分も経過しないうちに、次男が「たいくつー」と言ってジタバタし
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小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』第6回ピクサーに学ぶストーリー構造
今回はいよいよ核心となる物語の構造に踏みこんでいこうと思う。 そもそも物語の構造って、いったいどういう形をしているのだろう? 建築物なら設計図を見ればいいし、PCならハードウエアのカバーを外せばいい。だが、あいにく物語には形がないので、ネジを外したり、ボンネットを上げたりして、中身を確認することができない。 しかし、作り手が意図を持って組み立てたものであることには違いがない。物語を作りたければ、ま
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小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』第5回 物語を魅力的にするロケーションの役割
「一番好きな映画は何ですか?」 映画好きの人なら、おそらく一度は聞かれたことがある質問だろう。 僕の場合、かれこれ40年ほど映画ファンを続けているので、同様の質問を嫌というほど浴びてきた。 それなのに、一度として即答できた試しがない。感動を与えてくれた思い出の映画たちに優劣をつけることなんてできないし、年を重ねるにつれて好みが変わってきているから、改めて見直したら評価が変わってしまう可能性がある。
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小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』 第4回 マーベル作品に学ぶ、敵対者の作り方
物語とは主人公の旅路を描くものだ。 となると、映画を観るという行為は、主人公が運転する車の後部座席に乗りこんで、一緒にドライブ旅行を楽しむようなもの、と言えるかもしれない。 自動車と運転手さえあればどこにでもドライブに行けるように、主人公と目的地さえあればどんな物語でも作ることができる。だが、必ずしも面白いストーリーに仕上がるとは限らない。 想像してみて欲しい。目的地までのルートが、どこまでも平坦
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小西未来の『誰でもできる!ハリウッド式ストーリーテリング術』 第3回 主人公作りのヒントはトム・クルーズにあり?
前回、物語とは主人公の旅路を描くもの、と定義した。 つまり、主人公が目標に向かっていく過程が、ストーリーとなるわけだ。 では、肝心の主人公はどうやって作ればいいのだろう? 理屈上、主人公は目標さえ持っていればどんな人にも務まる。動物やロボットだって構わない。可能性は無限だ。 ただし、かつてヒッチコックが、「ドラマとは、退屈な部分を排除した人生のことだ」と言ったように、面白いストーリーを作りたければ