てれびのスキマ(戸部田 誠)の記事一覧
記事数: 61件
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「山田良明」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第21回 『北の国から』(フジテレビ)のような本格派の大作ドラマを手掛けた一方、フジテレビのいわゆる「トレンディドラマ」路線を生み出したのが山田良明だ。 1969年にフジテレビに入社した山田は、何の専門技術もないのになぜか技術局に配属された。わけもわからないままマイクロ回線を扱っていた。4ヶ月ほど経ったある日、廊下に副社長による檄文(げきぶん)が
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「井上ひさし」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第20回 井上ひさしといえば、直木賞を筆頭に、日本SF大賞、読売文学賞、星雲賞、谷崎潤一郎賞など数多くの賞を受賞した小説家だ。あるいは、岸田國士戯曲賞を受賞し、劇団「こまつ座」を率いた劇作家としての顔を思い浮かべる人も少なくないだろう。 しかし、そんな井上ひさしの"原点"といえるのは、間違いなく「テレビ」。つまり、テレビ作家としての活動だ。代表作
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「太田英昭」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第19回 「楽しくなければテレビじゃない」を標榜し、視聴率三冠王に君臨していた80年代のフジテレビ。 そんなフジテレビを「楽しい」だけじゃない方向から支えた人物がいる。その筆頭が、のちにフジ・メディア・ホールディングス代表取締役社長まで登り詰めた太田英昭だ。 太田は80年代、『おはよう!ナイスデイ』に立ち上げスタッフとして参加。フジテレビの弱点の
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「石井ふく子」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第18回 「橋田さんがこの世からいなくなったなんて考えられません。」 急性リンパ腫のため4月4日、95歳で亡くなった橋田壽賀子さんの訃報に石井ふく子氏は辛い胸の内を吐露した。 「橋田さんとは60年のお付き合いです。年中喧嘩したり、相談したり、家族のように付き合ってきました。一日電話しないと『どうしたの?』と心配されることもありました。思い出があり
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「常田久仁子」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第17回 「テレビ界のおっかさん」 萩本欽一がそう呼ぶのは、フジテレビの女性プロデューサー・常田久仁子である。 医師の次女として熊本で生まれた常田は、19歳で東京都内の洋裁学校に入学した。卒業後も講師として残るように頼まれたが、女性だけの世界に窮屈さを感じ、文化放送に入社。常田は文化放送から、テレビ放送開始を翌年に控えたフジテレビの社会教養部に移
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「桂邦彦」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第16回 大規模な視聴者参加型サバイバルゲーム番組の先駆けとなり、早くから海外での放送やフォーマット販売(番組コンセプトや演出手法などの販売)を成功させたのが、1986~89年に放送された『風雲!たけし城』(TBS)だ。これまで約150ヶ国で放送され、視聴者側の「攻撃軍」の隊長・谷隼人の元には、いまだに海外からファンレターが来るのだという。 そん
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「井塚英夫」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第15回 かつてテレビには「2時間ドラマ」という文化があった。いや、もちろん現在も2時間のドラマはつくられているが、いわゆる「2時間ドラマ」枠はほぼ消滅してしまった。 テレビ東京の『月曜プレミア8』がかろうじて残っているが、これはドラマ専門の枠ではなく、バラエティ特番も放送するもの。2019年3月にTBSの『月曜名作劇場』が終わったことで、2時間
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「佐藤義和」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第14回 今年10月28日、移住先の沖縄で肺がんのため72歳で亡くなった佐藤義和。 佐藤義和は言わずと知れたフジテレビの黄金期を支えたプロデューサー・ディレクター。『オレたちひょうきん族』では「三宅デタガリ恵介」らとともに「ひょうきんディレクターズ」の「ゲーハー佐藤」として番組内に登場し、『笑っていいとも!』ではタモリらから「サトちゃん」と呼ばれ
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「丸山鐵雄」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第13回 朝ドラ『エール』では作曲家・古関裕而をモデルとする古山裕一(窪田正孝)の生涯が描かれていた。 その中で大きな話題となったのは戦争の描き方である。女性を主人公とすることが多い朝ドラにとって、戦争はターニングポイントとして描かれることはあっても、真正面から描かれることは少なかった。だが、軍歌・戦時歌謡の名手であることで知られる彼の生涯を描く
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てれびのスキマの温故知新〜テレビの偉人たちに学ぶ〜「細野邦彦」篇
てれびのスキマの温故知新~テレビの偉人たちに学ぶ~ 第12回 「これが名器だ!」 ある日の深夜番組『11PM』(日本テレビ)のラテ欄にそんな文言が踊った。お色気も扱う深夜番組で「名器」。世の男たちは「もしかして......」という下心でチャンネルを合わせた。だが、映し出されたものはピアノやバイオリンの"名器"。それでも、高視聴率を獲得した。 そのようにして細野邦彦は人間の欲望を刺激するのに長けてい